新エーテル理論

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「エーテル」の存在を前提とした相対性理論の再検討

論文の紹介

この論文のもともとの題名は「エーテル」の存在を前提とした光と時空の再検討というものでした。相対性理論にはなるべく触れずに、「エーテル」が存在する世界で光と時間と空間がどのような性質を示すのかを検証し示そうと思っていました。しかし、この論文がエーテルが光の媒質であり引力に引き寄せられるという性質を前提にしているため、光の速度は媒質である「エーテル」に対し一定となり、アインシュタインが相対性理論の出発点の一つとした「光速度不変の原理」が成り立たなくなってしまい、結果的に相対性理論も成り立たなくなってしまいます。新エーテル理論と相対性理論とは同時には成り立たないのです。いくら「エーテル」の存在の可能性を示しても相対性理論が正しいならば光の媒質としてのエーテルの存在は絶対に認められないのです。そのため方針を変え、現在の世界を矛盾なく説明できる相対性理論と異なる新しい理論を構築しようと考えました。題名を「エーテル」の存在を前提とした相対性理論の再検討と変え、マイケルソン・モーリーの実験を含め、今までに検証されてきた実験の結果や相対性理論から導き出されて検証されている事象を否定することなく、それらを「エーテル」の存在を前提に別の理論で説明し、相対性理論との違いを明示した論文を作りました。どちらの理論が正しいのか私にはまだわかりません。しかし、この新エーテル理論は、相対性理論に代わる理論として検証していく価値が充分にある理論だと思います。

私が相対性理論の勉強を始めたきっかけは鈴木光司氏の書いた「なぜ勉強するのか?」(ソフトバンク新書 2006年)を読んだからです。

たとえば、物理学の世界では、相対性理論と量子論を統一させた理論を作ろうという模索が近年ずっと続いており、多くの学者がこの研究に取り組んでいます。だけど、まだ答えが見つかっていません。一般相対性理論では量子の計算がどうしてもできず、量子力学では時間と空間の計算ができないからです。
これも非常に興味深いテーマです。しかし、どうも研究の大枠が違うのではないかという気がしてならないのです。われわれは、もしかしてとても大きな解釈の間違いをしているのかもしれない。相対性理論と量子論の統一はつじつま合わせでできるものではなく、もっととんでもない仮説が先に出てくる必要性があるのではないでしょうか。

(以上58ページからの引用です。)

この文章を読むまで、私は相対性理論や量子論についてほとんど知りませんでした。ましてや、これらの理論が間違っているかもしれないなど思いもしませんでした。この文章の後、鈴木光司氏は天動説から地動説に移行したときのことも述べています。天動説、地動説については私にも知識があったのでその意見に深く共鳴しました。それで、相対性理論と量子論に興味を持ち勉強を始めたのです。勉強を始めてみると、一般相対性理論と量子力学の双方を統一する理論は研究すればするほど難しく、それまでの理論で説明できなかったことを説明するために次から次へとより難しい理論を作り出していることがわかりました。現在では、素粒子は「粒」ではなく実は「ひも」で、我々の世界は10次元以上であるという超ひも理論が有力な候補となっています。通常、我々が認識できる世界は時間と空間を合わせた4次元ですが、超ひも理論では空間を10次元以上としないと理論的にいろいろとおかしなことが出てきてしまい成り立ちません。そのため、どうしても、時空間を10次元以上としなければならないのです。世界中の優秀な科学者たちが超ひも理論の研究を日夜続けています。しかし、もはや「エーテル」の存在を否定した理論から発展してきた理論だけでなく、「エーテル」の存在を前提とした理論についても検討する必要がある時期に来ているのではないかと思います。一人でも多くのひとがこの論文を読み、新エーテル理論に興味を持ち検証に参加してくださることを願います。

2012年9月30日

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ここから論文が始まります

「エーテル」の存在を前提とした相対性理論の再検討

要約

光の媒質としての「エーテル」が存在する場合、真空中の光の速度は「エーテル」に対して一定と考えることができる。すると、「光速度不変の原理」が成り立たたず、これを出発点の一つとして導かれた「相対性理論」も成り立たなくなる。しかし、「相対性理論」から導き出される、時間の遅れや重力による光の屈曲などは様々な実験や観察により検証され実証されている。そこで、今回、光の媒質としての「エーテル」の存在を前提として、光と時間と空間の性質について再検討した。その結果、「光速度不変の原理」を用いることなく、時計の遅れや重力による光の屈曲や赤方偏移など、従来「相対性理論」の結果と考えられてきた多くの事象を説明することができた。

はじめに

前報 「エーテル」引きずり仮説と光行差についての再検討 において、「エーテル」が地球に引きずられ、地球と同じ速度で移動していても、光交差が観察されることが示され、光の媒質としての「エーテル」(以下「エーテル」と表記する)の存在の可能性が指摘された。

真空中の光の速度は、マクスウェルの方程式より常に一定であることが導き出されている。これを踏まえ、アインシュタインは「真空中の光の速度は、光源や観察者の運動に影響されず一定である。」という「光速度不変の原理」を提唱し、この「光速度不変の原理」と「全ての慣性系において物理法則はかわらない。」という「相対性原理」の二つを出発点として、「時間や空間は一定のものではなく、互いの相対的な運動の状態により変化する。」という、「相対性理論」を完成させた。しかし、光が真空中を「エーテル」を媒質として伝わると仮定すると、真空中の光の速度は「エーテル」に対して一定であると考えることも可能となる。もし、真空中の光の速度が「エーテル」に対して一定であるならば、観察者により観察される真空中の光の速度は、光源と観察者と「エーテル」の相対的な関係により変化する事になり、「光速度不変の原理」は成り立たなくなってしまう。そこで、今回、「光速度不変の原理」を出発点とせず、光の媒質としての「エーテル」が存在し、光の速度が「エーテル」に対して一定であるという事を前提とし、光と時間と空間の性質について再検討した。その結果、「光速度不変の原理」を用いることなく、時計の遅れや重力による光の屈曲や赤方偏移など、従来「相対性理論」の結果と考えられてきた多くの事象を説明することができたのでその詳細を報告する。

1.「エーテル」について

光と時空についての再検討を進めていくにあたり、まず最初に、その存在がこの理論の前提となっている、「エーテル」について考察し、その性質を明らかにして行く。

1-1 「エーテル」の基本性質

前報 「エーテル」引きずり仮説と光行差についての再検討 において、「エーテル」が地球に引きずられ、地球と同じ速度で移動していても、光交差が観察されることが示され、「エーテル」の存在の可能性が指摘された。しかし、これは一方で、「エーテル」の存在を前提としてマイケルソン・モーリーの実験結果を説明するためには、「エーテル」は地球の重力により地球に引きずられていなければならないということでもある。

このことより、「エーテル」の基本性質として「光の媒質である」(性質1)と「重力により引き寄せられる」(性質2)の二つが自ずと導き出される。したがって、以下に述べる「エーテル」の性質についての考察ではこの二つの性質(性質1,2)を前提条件とし論を進めていくことにする。

1-2 「エーテル」の基本性質から導き出される性質

光が宇宙空間を伝わり地球に届くことや深海や地下深い鉱山などでも光が伝わることより、光の媒質である「エーテル」は「空間のあらゆるところに存在している」(性質3)と考えられる。

そして、それにもかかわらず、我々がそれをまったく感知できないことより「エーテル」は「物質透過性が非常に高く、物質との相互作用が非常に弱い」(性質4)と考えられる。

物質を透過する能力が非常に高く、物質との相互作用が非常に弱い物質としてニュートリノが知られている。ニュートリノは電磁気力も強い力も働かない粒子なので原子核の中ですら通り抜けてしまう。宇宙からやってきたニュートリノは地球にぶつかっても何の反応も起こすことなく地球の裏側にまで通り抜けてしまうことが知られている。しかし、ニュートリノはごくまれに電子や原子核にぶつかったときに間接的に観察されることがある。しかし、「エーテル」はその存在を観察されたことはなく、ニュートリノよりもさらに透過性が高く物質との相互作用が弱いと考えられる。このことより、「エーテル」は「空間だけでなく、物質中にも存在し、原子や原子核の中にも存在している」(性質5)と考えられる。

マクスウェルの方程式より光は電磁波であり、エネルギーを受け取った空間が電磁誘導により交互に電界と磁界を発生させあうことにより電磁場の周期的な変動を引き起こし、これが空間を横波となって伝播していくことが知られている。「エーテル」が光の媒質であるならば、光を伝える電磁場は「エーテル」により作られていると考えられる。つまり、「エーテル」は「エネルギーを受け取ると、電磁場という新たな場を形成する」(性質6)と考えるられる。

通常、波は媒質の運動により伝えられていく。しかし、光は媒質が電界、磁界という、新たな場を発生させることにより伝わっていくものであり、これが、通常の波と光との大きな違いである。このため、流体である「エーテル」を媒質として横波である光が伝わることができるとともに、移動している媒質中での波の伝わる方向に通常の波と光で違いができるのである。

以上が「エーテル」の基本性質から導かれる「エーテル」の性質である。これら四つの性質と先に述べた二つの基本性質を合わせた六つの性質を前提としこれから光と時空について考察を進めていく。

2.空間について

光と時空について考察するに当たり、まず、全ての事象の舞台となる空間について考察する。

相対性理論において、空間は観察者の相対的運動により伸び縮し、重力の影響により歪むと言われている。しかし、相対性理論に従わない場合、空間は単なる物質の入れ物であり全ての事象の舞台であると考えることが可能である。すると、空間がどのような性質を持ちそこで起こる事象に対しどのような影響を与えるかは、その空間に存在している物質により決定されると考えられる。つまり、「エーテル」の存在を前提とし空間を考える場合、空間の性質は空間に「エーテル」がどのように存在するかにより決定されることになる。「エーテル」は性質3より宇宙空間を含め空間のあらゆるところに存在しており、それが性質2により天体の重力圏内で天体に引きつけられ、公転、自転など天体の動きに引きずられて移動している。そこで、空間に「エーテル」がどのように存在するかを考えていくうえで、まず、天体周辺の空間に「エーテル」がどのように存在しているかを考え、次に宇宙空間全体として「エーテル」がどのように存在しているかを考えていくことにする。

2-1 天体周辺の空間について

天体周辺の空間を考察する上で、よりわかりやすくするため地球周辺の空間について考えていくことにする。先に述べたとおり、「エーテル」は重力により地球に引き付けられそれが地球の自転と公転により地球と一緒に移動している。しかし、それを地球上から観察した場合、我々も地球の自転と公転により地球と一緒に移動しているため互いの動きが相殺されその動きを観察することはできない(厳密には若干のずれが生じると考えられるがそのずれは地表に近いほど少ないと考えられる)。そこで、ここでは地球の自転と公転の影響は考えず、「エーテル」が地球の重力の影響によりどのように地球周辺の空間に存在するかについて考えていく。

「エーテル」が地球の重力によりどのような動きをするかを検証するため、「エーテル」を地球の重力圏においた場合を考えてみる。地球の重力圏に置かれた静止した「エーテル」は、地球の重力により引き付けられ動き出し、徐々に速度を上げながら地球に向かい「落ちて」行きやがて地表に達する。地表に達した「エーテル」は、「物質透過性が非常に高く、物質との相互作用が非常に弱い」(性質4)のため、ニュートリノと同じように、何の反応も起こすことなく地球の裏側にまで通り抜けてしまう。この時「エーテル」は地球の中心までは速度を上げ「落ち」続けるが、中心を通り過ぎると進行方向と反対に引き付けられ徐々に速度を落とし「上昇」して行くことになる。そして、地球の反対側で「落ち」始めた高度と同じ高さに「上昇」したときに速度が0となり、また「落ち」始める。つまり、地球の重力圏に置かれた「エーテル」は地球の重力圏において「下降」と「上昇」を繰り返すことになる。また、この時、「下降」と「上昇」の速度は、高度により変化するが同じ高度においては等い。このため、地球の重力圏にある全ての「エーテル」について考えた場合、各高度における「エーテル」の「上昇」と「下降」の流れは相殺され、全体として「エーテル」の流れを観測することはできない。しかし、 個々の「エーテル」を見た場合、その運動が相殺されるわけではない。このため、「下降」と「上昇」の速度が速いほど、「エーテル」の持つ運動量は大きいことになる。つまり、「エーテル」の運動量は、「エーテル」が地球に向かい「落ち」始めてからの時間が長く、速度がより速くなる低空ほと大きくなる。また、単位体積あたりの「エーテル量である「エーテル濃度」も、「エーテル」が地球を中心とし引き付けられることより、地球に近いほど、つまり高度が低いほど高くなる。

実際には、「エーテル」は他の天体の重力や光の媒質として電界や磁界を発生させた影響などによりさまざまな方向にさまざまな速度で移動していると考えられる。このため、地球の重力圏に入っても再び宇宙空間に出て行ってしまうものもあると考えられる。しかし、一度重力圏に捕らえられた「エーテル」は、地球の重力圏において地球を中心として「下降」と「上昇」を繰り返し、いわゆる「エーテル圏」を形成していると考えられる。そしてこの「エーテル圏」での「エーテル濃度」と「エーテル」の運動量は、地球に近いほど高く地球からの高度が上がるほど低くなっていると考えられる。

以上、地球周辺の空間について考察してきたが、地球以外の恒星や惑星、銀河や銀河団などの天体も同じように重力圏を持ち、それに重なる「エーテル圏」を持っていると考えられる。そして、その「エーテル圏」の性質も、ブラックホールなど異常に重力の強い天体以外では同じであると考えられる。

3.光について

光が「エーテル」を媒質として伝わる波である場合、その性質は空気を媒質として伝わる音とよく似たところがある。しかし、光が単なる媒質の運動により伝わるのではなく、電界と磁界を生じながら伝わっていくことよりその性質に違いも見られる。光の性質について、速度と伝わる方向につき音とも比較しながら考察していく。

3-1 光の速度について

光の速度は空気中を伝わる音の速度と同じ性質を持っていると考えられる。それは、音の速度が媒質である空気に対して一定であり、音源、観察者、空気の相対的な関係により変化するのと同じように、光の速度も媒質である「エーテル」に対して一定であり、光源、観察者、「エーテル」の相対的な関係により変化すると考えられるからである。以下に、エーテルを基準とし、その中を光源と観察者が直線上を移動している場合に光の速度が観察者にどのように観測されるか具体的に検討した結果を報告する。

@.光源のみが運動している場合

光源が「エーテル」中を移動している場合、光は媒質である「エーテル」中を一定の速度で伝わることより、光源がどのような速度で運動していたとしても観察者が観測する光の速度は変化しない。これは、空気中の音速の性質とまったく同じであり、ドップラー効果も光源が観察者に近づく場合は波長が短くなる青方偏移、光源が遠ざかる場合は波長が伸びる赤方偏移がおこる。

このことより、現在、「光速度不変の原理」の検証の一つと考えられている、光速に近い速度で進む電子から放射される光の速さが「電子の速度+光の速度」ではなく、光の速度のままであるということは光が「エーテル」中を一定の速度で伝わることを前提にした場合も起こることがわかる。

A.観察者のみが運動している場合

観察者が「エーテル」中を移動している場合、光は媒質である「エーテル」に対して一定の速度であることより、光の速度は観察者の光源に対する運動の方向と「エーテル」に対する速度により決定される。このため、光の速度をC、「エーテル」に対する観察者の速度をVとした場合、観測される光の速度は、観察者が光源に近づく場合はC+V,遠ざかる場合はC-Vとなる。これも、空気中の音速の性質とまったく同じであり、ドップラー効果についても音の場合と同じ現象が起こる。すなわち、波長は変わらないが速度が変わるため観察される周波数が変化する。観察者が光源に近づく場合は観察される光の速度が速くなるため周波数が高くなり、遠ざかる場合は速度が遅くなるため周波数が低くなる。

B.光源と観察者がともに運動している場合

光源と観察者がともに運動している場合、光の速度は光源がどのように運動していても媒質である「エーテル」中を一定の速度で伝わることより、光源の運動には関係なく観察者の「エーテル」に対する速度により決定される。このため、光の速度をC、「エーテル」に対する観察者の速度をVとした場合、観測される光の速度は、観察者が光源に向かう場合はC+V,反対方向へ向かう場合はC-Vとなる。この場合、光源に向かうと言うのは光源に近づくことを意味しているのではない。あくまでも、光源の方向に進んでいくことを意味している。光源と観察者が同じ方向に進んでいる場合、観察者が光源に向い光源を追いかけていたとしても、光源の速度が観察者の速度よりも速い場合は光源と観察者の距離は離れて行くことになる。この場合は上記、Aの場合とは違い光源から観察者が遠ざかるにもかかわらず、観察される光の速度はC+Vとなる。同じように、反対方向へ向うということも光源から遠ざかることを意味しているのではなくあくまでも、光源のある方向の反対側に進むことを意味する。

ドップラー効果については、光源の運動による波長の変化と観察者の運動による観察される光の速度の変化による周波数の変化が掛け合わされた周波数の変化が観測される。このため、速度の変化とは違い、ドップラー効果には光源の運動が深く関わってくる。

3-2 光の進行方向について

光が「エーテル」を媒質とする波であるならば、音と同じようにその進行方向は「エーテル」の運動により影響を受ける。しかし、光は音と違い媒質が運動することにより伝わるのではなく、「エーテル」が電界、磁界を作ることにより伝わるもののため音とは違った性質を示すと考えられる。「エーテル」の運動により光の進行方向がどのように影響を受けるかを、光、観察者、「エーテル」の速度と方向をあらわすベクトルをそれぞれC,V,Eとし、観察される光の速度と方向を表すベクトルをC'とし検討する。

@.移動している「エーテル」を進む場合

光が移動している「エーテル」中を進む場合は音と同じように媒質の移動により一緒に移動する。そのため、観察される光の速度と方向を表すベクトルはC'= C+E となる。

A.移動していない「エーテル」から移動している「エーテル」に光が進入してきた場合

光が移動していない「エーテル」から移動している「エーテル」に進入してきた場合は進入時に光の進行方向が変えられる。マクスウェルの方程式より電磁波である光は、電界と磁界が電磁誘導により交互に相手を発生させあうことで空間を伝わっていき、電界と磁界が発生する振動方向はお互いに直角であり、誘電率、透磁率が変化しない限り空間中を直進することが示されている。つまり、「エーテル」は光を受け取るとその光を受取った方向の180度反対にある「エーテル」に伝えることを繰り返し直線的に光を伝えていくのである。静止している「エーテル」中を垂直に直進してきた光は、移動している「エーテル」から見ると光行差と同じ原理により上斜め前方より進んでくることになる。すると、上斜め前方より光を受けた移動している「エーテル」はその光を受取った方向の180度反対にある下斜め後方の一緒に移動している「エーテル」に伝える。つまり、静止している「エーテル」から移動している「エーテル」に光が進入する瞬間に光の進行方向が光行差で観測される角度と同じだけ変えられることになる。その後、移動している「エーテル」中を進む光は「エーテル」と同じ方向に同じ速度で流される(図1)。

図1:移動していない「エーテル」から移動している「エーテル」に光が進入してきた場合

 図1:移動していない「エーテル」から移動している「エーテル」に光が進入してきた場合光の速度と比較して「エーテル」のスピードが遅く、光の進行方向が変えられる角度(Θ)が小さい場合cosΘ=1となるため、実際の光の進行方向は角度が変化してまがって進んだ距離と同じ距離だけ「エーテル」により流されて戻されるため直進することになる。「エーテル」の速度が速い場合は流された光が進む経路と光が直進するときの経路とで作られる角度をΘ'とした場合、光速をC、「エーテル」の速度をVとすると

kkssiki1.png
(式1)
      となる。


図2:図1の移動している「エーテル」中を進む光の部分を拡大したもの

図2:図1の移動している「エーテル」中を進む光の部分を拡大したもの光の進行方向が変えられる角度をΘ、光が進む経路と光が直進するときの経路とで作られる角度をΘ'とし、できた三角形の各頂点をA、B、B'、C、C'、Dとし、光速をC、「エーテル」の速度をV、線分C'Dをx、線分C'B'をy、 線分AC'をzとする。光速は「エーテル」に対して一定のため移動している「エーテル」に入っても速度Cで進む。そのため移動している「エーテル」を進む光をあらわすベクトルはABとはならず、AB'となる。したがって、

kksSiki2.gifとなる。


式1の証明

図2において三角形ABCと三角形AB´C´は相似である。

よって、辺AB:辺AB´=辺BC:辺B´C´ かつ 辺AC:辺AC´=辺AB:辺AB´

よってkksSiki3.png・・・・・@   かつ  kksSiki4.png・・・・・A

@よりkksSiki5.png          AよりkksSiki6.png

x=辺B´D−辺B´C´=V−y=V−kksSiki9.pngkksSiki7.png

以上より

kksSiki10.pngkksSiki11.pngkksSiki7.png÷kksSiki12.pngkksSiki8.png

 となる。    証明終了

実際に式1を使い計算してみるとΘ´の値はエーテルの速度が光速と同じ場合22.5度、光速の50%の場合3.38度、光速の10%の場合102.9秒、光速の5%の場合12.9秒、1%の場合0.1秒となる。このことより、光が移動していない「エーテル」から移動している「エーテル」に進入してきた場合、光は「エーテル」に流され「エーテル」の移動方向に曲げられることが判明した。しかし、曲げられる大きさは単純に「エーテル」の速度に比例するのではなく、「エーテル」の速度が低下するに従い急激に減少することがわかった。

宇宙空間にある、天体の公転や自転により引きずられて作られる「エーテル」の流れは光速に比べ非常に小さいものである。具体的には、地球の公転速度は秒速約30kmで光速の0.01%であり、太陽系が銀河系を公転する速度は秒速約220kmで光速の0.073%である。そのため光は、宇宙空間に天体に引きずられさまざまな速度で移動している「エーテル」があるにもかかわらず、「エーテル」がない場合や「エーテル」が静止している場合と同じように直進すると考えられる。

B.移動している「エーテル」の中で光を発射した場合。

移動している「エーテル」の中で光を発射した場合、光源は動いておらず光源の周囲の「エーテル」が移動しているため、上記の移動していない「エーテル」から移動している「エーテル」に光が進入して来た場合とまったく同じことが起こる。つまり、光が発射された瞬間に「エーテル」の流れてくる方向に「エーテル」の速度に応じて進行方向が変えられ、それが「エーテル」の流れによりもとの進行方向の方に戻される。

C.「エーテル」のなかを移動しながら光を発射した場合。

光源が「エーテル」中を移動している場合も、相対的には光源が静止し「エーテル」が移動しているとみなすことができるため、発射された光は「エーテル」が流れてくる方向、つまり、光源の進行方向に進行方向を変える。観察者が光源と一緒に移動している場合、移動している「エーテル」の中で光を発射した場合とまったく同じ現象が観察される。観察者が静止している場合は、光源からでた光は光源の速度が速くなるにしたがい進行方向に進むようになり、仮にその速度が光速と等しく等しくなった場合は進行方向の真後ろに発射された以外の光は全て光源の進行方向に向って進むことになる。これは、普通の光源が全方向に対して光を放出するのに対し、加速器で光速に近くまで加速された荷電粒子が磁場の中で曲げられたときに放射する放射光が軌道の接線方向に集中し、志向性の高い強力な光となることの理由の一つであると考えられる。

3-3 重力による光への影響について

@.重力による光の屈曲について

天体の引力により引き付けられた個々の「エーテル」は「エーテル圏」を形成しその中で「下降」と「上昇」を繰り返しているが、この「下降」と「上昇」の動きは他の「エーテル」により打ち消され「エーテル圏」全体では観測できないものとなっている。このため、いくら引力が強くとも天体の重力による天体へ向かう「エーテル」の流れはなく、「エーテル」を媒質とする光も重力により天体に引き寄せられることはないと考えられる。しかし、光は電磁波であり「エーテル」中に新たに電界と磁界を形成しながら進行していくものである。そして、この新たにできた電界と磁界は引力により引き寄せられる性質を持つ「エーテル」でつくられているため、天体の重力により引き寄せられることになる。このため、電磁波である光も重力により引き寄せられ重力の方向に曲がることになる。

A.重力による光の赤方偏移について

強い重力を持つ天体から放出される光が、エネルギーの一部を失い振動数が小さくなり波長が引き伸ばされる現象を、重力による光の赤方偏移といい、一般相対性理論から予測されている。この現象を「エーテル」の存在を前提とし考えた場合、重力による天体に向かう「エーテル」の流れは無いため、光が天体の方向に流されることはなく、光速の変化による周波数の変化は無い。しかし、光が空間を伝わるために作られる電界と磁界は、重力に引き寄せられ天体の方に引き戻される。このため、光速は変化しないが波長は引き伸ばされ長くなり、重力による光の赤方偏移が引き起こされるのである。

4.時間について

時間とは、出来事や変化を認識するための基礎的な概念であり、その単位や長さは人間が利便性により決定したものである。現代、国際的に広く使われている時間は、もともとは地球の自転と公転をもとに決められたものである。地球が1回転する期間(地球の自転期間)を1日とし、それをもとに、時、分、秒という時間を表す単位とその長さを決定し、地球が太陽の周りを1回転する日数(地球の公転期間)を1年とし、それをもとに、月や週などの単位と長さを決定した。つまり、地球の自転や公転という身の回りで起こり人間がそれを認識し観察できる変化をもとに時間の単位や長さを決定したのである。

古来から人間はさまざまな方法で時の流れを知ろうとしてきた。人が単独で行動している間は時間はそれぞれ個人が自分自身の単位や長さを持っていても問題なかった。しかし、集団で生活する場合は、その集団で共通の時間単位を持たなければ集団行動において様々な障害がでるようになる。そのため、はじめは誰が見ても同じで誰もが見ることができる、太陽、月、星など天体の動きや形の変化を時計代わりにし、集団で時を共有していたと考えられる。しかし、天体は天候や時期により見ることのできない場合も多く常に時を知ることは不可能である。そのため、天候などの自然現象に影響されることなく、常に時を知るための道具である時計を進化させてきた。その結果、時計が正確に成ればなるほど、集団で共有し利用している時間を知るために時計を頼るようになり、時計イコール時間という認識ができてしまった。そして、人間は、実体のない時間という概念を物事の変化や動きをもとに自分たちの利便性に合わせて決定し利用してきたのに、反対に物事の変化や動きが時間の流れだと誤解してしまったのである。

4-1 時間の遅れについて

特殊相対性理論では、物質が移動している場合その相対速度が速くなればなるほど時間の進み方が遅くなることが示されている。そしてこれは、航空機に乗せた原子時計がわずかに遅れることや宇宙線の衝突により発生する非常に寿命の短い粒子であるミューオンが地上で観測されること、粒子加速器で素粒子を光速近くまで加速すると崩壊までの寿命が延びることなどにより実証されていると考えられている。また、一般相対性理論により、重力が強ければ強いほど時間の進み方が遅くなることが予測され、その実証として、全地球測位システムに使われるGPS衛星が、高速で移動するために生じる特殊相対性理論の効果による時間の遅れと、高高度にあるため地表よりも重力が弱いために生じる一般相対性理論の効果による時間の進む速さの増加の両方の効果を精密に考慮して衛星の内臓時計の時間を補正して運用されていることが挙げられている。 しかし、これらの現象は、時間の速度が変化したのではなく、単に物質の動きや反応速度、崩壊速度が変化したために観測されたと考えることもできる現象である。

具体的には、液晶時計が遅れるのは水晶振動子の振動が阻害され通常よりも振動の速度が遅くなるためであり、ミューオンや素粒子の寿命が延びるのは、物質の反応速度が遅くなり崩壊までの時間が延びるためであると考えることができる。しかし、現在、国際的な一秒の定義に使われているセシウム原子時計の場合は、基底状態のセシウム133の原子が超微細準位の間を遷移するのが阻害されると、遷移するのに必要なエネルギーがより多く必要になり、通常よりもエネルギーの多い周波数のより高いマイクロ波により遷移されるようになり、反対に時計は進むと考えられ矛盾が生じてしまう。

以上のことから、現在、相対性理論に基づき時間の進む速度の変化により起こっていると考えられている現象の多くは、時間の進み方が変化したために起こっているのではなく、単に物理的に物質の変化の速度が遅くなったために起こっていると考えることも可能であることが示された。しかし、セシウム原子時計の場合のような例外もあり、単純に物質の変化の速度が遅くなったためとは言えないことも判明した。本論文では、セシウム原子時計の遅れも含め、相対性理論から導き出される時間の遅れの検証と考えられている事象がなぜ起きるのか、「エーテル」の存在を前提とし考察していく。

4-2 「エーテル」と時間の遅れについて

@.運動による時間の遅れについて

「エーテル」は物質透過性が非常に高く、物質との相互作用も非常に弱いため、物質が「エーテル」中を移動する場合、マクロ的には、「エーテル」は物質に対しほとんど反応や抵抗を与えることなく物質中を透過していくと考えられる。物質の移動速度が速くなると、物質中を透過していく「エーテル」の相対速度が速くなり、単位時間あたりに物質中を「エーテル」が透過する数が増える。これをミクロ的に見ると、「エーテル」は原子中はもちろん原子核のなかも透過するため、その透過する数が増加すると、一種の「抵抗」として、原子中の様々な反応や動きを阻害すると考えられる。

具体的には、素粒子の一種である電子は波としての性質を持ち、原子核の周りに雲のように存在していると考えられているが、その中を短時間に多数の「エーテル」が通過すれば、電子の動きは当然阻害され、原子の遷移や励起、電子のやり取りを基本としておきる原子同士の反応が阻害され、遅くなると考えられる。すると、原子だけでなく、原子から作られる分子の動きや反応速度、崩壊速度が遅くなり、物質の動きや反応が阻害され遅くなると考えられる。

つまり、物質が空間の本質である「エーテル」中を移動する場合、速度が速くなるに従い物質中を透過する「エーテル」の数が多くなり、「エーテル」による「抵抗」が増え、原子中の様々な反応や動きが阻害され、上記「時間の遅れについて」で述べた、特殊相対性理論から導き出される時間の遅れの検証と考えられている事象(以後「時間の遅れ」と表記する)の多くが、起こると考えられる。

次に、「抵抗」が増え原子中の反応や動きが阻害されると反対に時計が進むと考えられるセシウム原子時計について考えていく。前記のように、セシウム原子時計の場合は、基底状態のセシウム133の原子が超微細準位の間を遷移するのが阻害されると、遷移するのに必要なエネルギーがより多く必要になり、周波数のより高いマイクロ波により遷移されるようになり時計が進むと考えられる。マイクロ波のエネルギーについて考えてみると、電磁波であるマイクロ波は通常は周波数が高くなり波長が短くなるに従いそのエネルギーは大きくなっていく。しかし、「エーテル」の存在を前提として考えた場合、電磁波の一周期の間に電磁界が作られる空間に存在する「エーテル」の数が増加すると、「エーテル」から作られる電磁界中の「エーテル」の数も増加すると考えられる。すると、同じ波長であっても、そこに含まれるエネルギーは増加することになる。つまり、空間の「エーテル」が増加すると、光が物体に照射されたときに物体に与えるエネルギーは波長が同じでも増加することになる。セシウム原子時計では、単位時間あたりに物質中を「エーテル」が透過する数が増加し「抵抗」が増え、原子が超微細準位の間を遷移するのに必要なエネルギーが増加し、遷移に必要なマイクロ波の周波数が増加するよりも、単位時間あたりに物質中を「エーテル」が透過する数が増加しマイクロ波のエネルギーが増加するために、原子が超微細準位の間を遷移するのにちょうど必要なエネルギーを与えるためのマイクロ波の周波数が低下する影響のほうが大きいため、全体として遷移のためのマイクロ波の周波数が低下し、そのために時計が遅れるのだと考えられる。

以上のことより、運動による「時間の遅れ」が「エーテル」の存在を前提としても起こる可能性があることが示され、その原因のほとんどが単位時間に物質中を通過する「エーテル」の数が増加することによる「エーテル」の「抵抗」の増加による物質の反応速度の低下によるものだとわかった。ただしこれには、セシウム原子時計のような例外もあるが、いずれにせよ、運動による「時間の遅れ」は、運動により物質中を通過する「エーテル」の速度が上がり、単位時間に物質を通過する「エーテル」の数が増加することにより起こることが判明した。

本論分の考え方に従った場合、「エーテル」中を物質が移動する場合の「時間の遅れ」は、物質と「エーテル」との相対速度により決定されるものであり、その結果は誰が観察しても同じものとなる。一方、特殊相対性理論では、「時間の遅れ」は物質の相対的な運動により起こることが導き出されている。このため、特殊相対性理論では、同じ「時間の遅れ」について観察しても、観察者により異なる結果になる。そして、この違いを説明するため、物質の運動により時間が遅れることだけでなく、観察者に対して運動している物体が、空間も含め、その観察者から見る物体の進行方向に長さが収縮する、ローレンツ収縮や、起きた場所が異なる二つの出来事については、ある観察者にとっては同時でも、運動が異なる別の観察者にとっては同時ではなくなってしまうという、同時刻の相対性が導きだされる。以下、運動による「時間の遅れ」について、本論分の考え方にしたがった場合と、相対性理論に従った場合との違いについて、具体的に検証していく。

観察者A,Bがそれぞれ時計A,Bを持ち、観察者Aが静止しており、観察者Bが高速で移動している場合を考えてみる。考察の前提条件とし、空間での「エーテル」の移動と重力の変化はなく、観察者Bの出発時に時計A,Bは正確に合っているとする。本論分の考え方に従った場合、「エーテル」に対して移動しているのは観察者Bと時計Bであり、「時間の遅れ」が起こるのは時計Bである。このため、観察者Aは時計Bが遅れていることを観察し、観察者Bは時計Aが進んでいることを観察する。この時、両者の観察結果に矛盾は生じない。一方、相対性理論に従った場合、観察者Aから見ると、運動しているのは観察者Bと時計Bである。このため、観察者Aは時計Bが遅れていることを観察する。しかし、相対性理論の考え方では、運動はそれぞれの相対的な立場により決定されることより、観察者Bから見ると、観察者Aと時計Aが動いていると観察される。そのため、観察者Bは時計Aが遅れていると観察することになる。つまり、相対性理論に従うと、観察者A、Bは互いに相手が移動しており、相手の持っている時計が遅れることを観察することになる。単純に考えるとこの観察結果は矛盾していると思われるが、上記、ローレンツ収縮と同時刻の相対性により説明される。

A.重力による時間の遅れについて

まず、地球での重力による時間の遅れについて考えてみる。前記、天体周辺の空間についてで述べたとおり、「エーテル」は地球の重力圏で、「エーテル圏」を形成しており、「エーテル圏」での「エーテル濃度」と「エーテル」の運動量は、地球に近いほど高く地球からの高度が上がるほど低くなっている。また、重力も、地球に近いほど高く地球からの高度が上がるほど低くなっている。このため、地球の重力と「エーテル圏」での「エーテル濃度」と「エーテル」の運動量との間には正の相関関係があり、「エーテル濃度」と「エーテル」の運動量は、高度の低下に伴う重力の増加に伴い増加することになる。このため、地球では、重力の低い上空よりも重力の高い地表のほうが「エーテル濃度」と「エーテル」の運動量が高くなり、物質中の原子や原子核内の「エーテル濃度」と「エーテル」の運動量も高くなる。そして、これが一種の「抵抗」として、原子中の様々な反応や動きを阻害すると考えられる。そのため、重力によっても、運動による時間の遅れで示したのと同じ理由により、一般相対性理論から導き出された「時間の遅れ」(以下、特殊相対性理論および一般相対性理論から導き出される時間の遅れと考えられる事象を「時間の遅れ」と表記する)が起こると考えられる。

「エーテル」の運動量は、厳密には高度だけでなくその高度の重力の大きさにより変化する。これは、同じ重力の場合、ボールをより高度の高いところから落としたほうが地上に達したときの速度が速くなることと、重力の違う場所で同じ高さからボールを落とした場合、重力の大きな場所で落としたボールのほうが地上に達したときの速度が速くなることと同じ理由により起こることである。このため、地球上ならば、同じ高度であっても重力が大きければ「エーテル」の運動量は多くなり、物質に与える「抵抗」も多くなる。このため、同じ高度で重力の違う地点で「時間の遅れ」を観察した場合、重力の大きい地点のほうが「時間の遅れ」は大きくなる。

次に、地球以外の天体について考えてみる。地球以外の天体も、それぞれ重力圏とそれに重なる「エーテル圏」を持ち、その「エーテル圏」の性質や重力の性質は基本的に同じである。そのため、地球以外の天体でも、その天体の「エーテル圏」の中では、重力が大きいほど「時間の遅れ」が大きくなると考えられる。しかし、ここで、注意しなければならないのは、天体の質量が違う、重力の強さの異なる2つの天体同士で比較した場合、同じ重力の場所で観察される「時計の遅れ」が違うということである。重力の強い天体での「時計の遅れ」のほうが大きくなる。これは、重力の強い天体のほうが大きな「エーテル圏」を持っているため、同じ重力の大きさのところまでに「エーテル」が引き寄せられてくる距離が長く、そこまでに「エーテル」に加えられる重力の総量が多く、「エーテル」の運動量が大きくなるためである。

以上のことより、重力による「時間の遅れ」は、「エーテル」の存在を前提とした本論文の考え方に従った場合も起こることが示された。しかし、本論分では、重力による「時間の遅れ」は、各天体の「エーテル圏」の中では、高度が低くなり重力が強くなるに従い大きくなってくるが、その変化の度合いは各天体独自のものであり、重力の値により画一的に決まるものではないこともあわせて示された。

5.考察

今回、相対性理論を使うことなく、「エーテル」の存在を前提として、光と時間と空間の性質について再検討した結果、運動や重力による「時間の遅れ」や重力による光の屈曲や赤方偏移など、従来「相対性理論」の結果と考えられてきた多くの事象を説明することができた。しかし、光の速度や進行方向、運動による「時間の遅れ」などで、相対性理論で導き出される結論や従来の考え方と異なる事象も出てきており、今後更なる検討が必要と考える。

特に、「時間の遅れ」については、本論文の考えでは実際には時間の遅れはなく、基本的には単に「エーテル」の「抵抗」により物質の反応速度が遅くなり、その結果「時間の遅れ」が起こるという結論になり、観測される事象は同じでも相対性理論の考え方とは大きく異なっている。この「時間の遅れ」があるため、相対性理論では、ローレンツ収縮、同時刻の相対性が必然的に導き出されるが、本論文ではその必要はなく、より簡単な理解しやすい理論となっている。

現在、我々が使かっている温度、長さ、気体の圧力などの単位は、それぞれ一定の条件(標準状態)の下で測定され使われており、測定時の条件が違えばその値が変わってくることは周知の事実である。たとえば、国際的に使用が認められているセルシウス度(摂氏)は水の融点を0度、沸点を100度としているが、水に塩などの不揮発性の溶質をを溶かすと、凝固点降下、沸点上昇が起こる。また、山の頂上など高度が高く気圧の低いところでは、沸点が低くなることも観測されている。気体についても温度と体積と圧力が互いに影響し変化することが知られ、その関係がボイル・シャルルの法則としてまとめられている。時間については、1967年の国際度量衡総会において、「秒とは、セシウム133原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移に対応する電磁波の9,192,631,770周期に相当する時間である。」と定義され、その後1997年の国際度量衡局の会議で「秒の定義は0ケルビン(K)の下で静止した状態にあるセシウム原子に基準をおいている」という声明が出され現在に至っている。しかし今回、「エーテル」の存在を前提とし考えるならば、「エーテル」の状態が、基底状態のセシウム133の原子が超微細準位の間を遷移するのに影響を与えるとともに、照射されるマイクロ波のエネルギーにも影響を与えることが強く示唆された。そのため、今後は秒の定義において重力や高度など「エーテル」の状態に影響を与える事柄について充分に考慮し決定する必要があると考える。

「エーテル圏」における、「エーテル濃度」は、「エーテル」が天体の重心に引き寄せられることにより、高度を下げるに従い高くなってくる。そして、これは、球の表面積に反比例することから、天体の重心からの距離の二乗に反比例することになる。一方、天体の引力も距離の二乗に反比例することがわかっている。このことより、「エーテル濃度」は地球の重力と深い関係があることが示唆される。「エーテル」が作る空間が「重力場」であり、「エーテル」が重力子である可能性も含め、今後さらに詳しく検討していきたい。

気体の圧力は、温度と体積との関係で決まる。一方、「エーテル」が物質に及ぼす「抵抗」は、「エーテル濃度」と「エーテル」の運動量によって決まる。気体の圧力は気体が他の物質に与える力の大きさであり、温度の変化が気体分子の運動量を変化し、標準状態の体積は単位体積あたりの気体分子の数により決定される。このことより、「エーテル濃度」と「エーテル」の運動量により決定される「抵抗」を「エーテル圧」と呼ぶことを提唱したい。すると、「時間の遅れ」は「エーテル圧」と「エーテル」に対する物質の速度により決定される。重力による時間の遅れで示したように、異なる重力をもつ天体では、同じ重力の強さの場所であっても「エーテル」の運動量が違うため「時間の遅れ」に違いがある。しかし、「エーテル圧」を使い「時間の遅れ」を比べると、どの天体で測定しても「エーテル圧」が同じならば「時間の遅れ」は同じになる。今後、地球上の様々な場所の様々な高度で、静止した状態と移動した状態で「時間の遅れ」を測定しそれを比較することで、重力と「エーテル」の運動量の関係や、「エーテル」の運動と「時間の遅れ」の関係など様々な「エーテル」の性質を検証することができると考える。

以上のことより、相対性理論の登場以来完全に否定されてきた「エーテル」の存在が完全には否定できず、反対に「時間の遅れ」などに対しては、相対性理論を用いて説明するよりも「エーテル」の存在を前提として説明したほうが簡単に説明できることがわかった。今後は、「エーテル」の存在を前提とし、今までと違った視点から引力や質量、運動の法則など様々な物理的事象の説明を試みたいと考える。

論文は以上です

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論文2:「エーテル」の存在を前提とした相対性理論の再検討(PDFファイル)


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Copyright (C) 2012 Yukihiko Hoshino
初版:2012年9月22日、最終更新:2015年3月8日
エーテル相対論
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