新エーテル理論

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「エーテル」の存在を前提とした宇宙の成り立ち

論文の紹介

今回の論文のテーマは宇宙です。すでに 論文3:「エーテル」の存在を前提とした万有引力についての考察 の中で、宇宙のインフレーションとダークエネルギーについては考察しその正体を明らかにしました。本論文では、宇宙の大規模構造が泡が何層にも重なり合ったような構造をしていることと、ほぼすべての銀河の中心にその銀河の大きさと比例する超大質量ブラックホールが存在することに注目し、新エーテル理論で今までに判明したことを土台として、宇宙の成り立ちについて検討しました。その結果、上記の二つの現象の理由はもちろん、ダークマターの正体や宇宙の始まりから将来の姿まで、ほぼ全ての事象を理論的に解明することができました。私自身、「エーテル」の存在を認め「エーテル」の存在を前提とするだけで、こんなにも簡単に宇宙の誕生から成り立ち、成長と未来までが説明できてしまうことに非常に驚き、同時に「エーテル」の存在をより強く確信しました。

物理学の究極の目標は、素粒子などのミクロの世界から宇宙の大規模構造などのマクロの世界までの、宇宙のあらゆることをたった一つの理論で説明できる「超大統一理論」を作ることだと言います。新エーテル理論では、今までに、光と時間と空間の性質、引力の発生機序とその性質、強い力と弱い力、重力質量と慣性質量とその等価原理の証明、慣性の法則の証明、物質とエネルギーの等価性とエネルギーの正体など様々な事象について、「エーテル」の存在を前提として検討してきました。その結果、それらの事象が全て、「エーテル」の動態により決定されることが判明し、素粒子とは、「エーテル」が集合と発散を繰り返しながら空間に安定して存在している状態であることも導き出されました。その上、今回本論文により、新たに、宇宙空間が「エーテル」の集合と発散を繰り返し存在し続けることも導き出されました。つまり、宇宙で最も小さな構造物である素粒子も宇宙で最も大きな構造物である宇宙空間も、両方が全く同じ現象である、「エーテル」の集合と発散により成り立っていることが判明したのです。電磁気学の分野などまだ判明していない部分もありますが、私は、この世界の全ての物質の存在や現象は、全て「エーテル」が互いに影響を及ぼしながらどのように動き、集まり、離れ、流れていくかにより決定されるものであり、しかもその動きは全て、現在すでにわかっている、運動の法則により決定されていると考えます。私は、新エーテル理論は物理学が目指す究極の理論である「超大統一理論」になりうる理論だと考えます。皆さんも、本論文をお読みになればキット、私と同じ考えを持つものと思います。どうぞ、本論文をお読みになり、今までとは全く違う考え方にもとづく、新たな「超大統一理論」の可能性に触れてみてください。

前報 論文3:「エーテル」の存在を前提とした万有引力についての考察 を発表してからこの論文を発表するまでに三年五か月という非常に長い時間が経ってしまいました。当初は、一年に一本のペースで論文を発表したいと考えていたのですが現実はそんなに甘くはありませんでした。計画では、引力の論文の後、電磁気学、宇宙、量子論の順に論文を作るつもりでいました。実際、論文3の後、電磁気学の論文を作り始めたのですが、これが非常に難しく、現在の私の知識では手に負えませんでした。いろいろと悩んでいるうちに、ダークマターが実在の物質ではなく、「エーテル」の一方向への流れであることに気付いたため、電磁気学の論文は二年ほどで一旦諦め、宇宙についての論文を先に書くことにしました。宇宙についての論文は比較的順調に進みましたが、やはり一年以上かかってしまい、結局、前論文発表から今回の論文の発表までに三年五か月もかかってしまいました。今後は、また電磁気学や量子論についての論文を書きたいと思っていますが、今のままの知識では無理であることが身に染みてわかりましたので、焦らず時間をかけて基本から勉強した後に論文に取り掛かりたいと思っています。また、すでに電磁気学や量子論の知識のある方々が、新エーテル理論に興味を持ち、「エーテル」を前提とした電磁気論や量子論についての検証をしてくだされば非常にありがたいことだと思ってもいます。繰り返しになりますが、この、新エーテル理論は物理学が目指す究極の理論である「超大統一理論」になりうる理論だと考えます。この論文を読んでくださった皆様が、新エーテル理論に興味を持ち、検証に参加してくださることを強く願います。

2017年6月21日


ご意見、ご感想

論文からの抜粋です

要約

前報 「エーテル」の存在を前提とした万有引力についての考察 において、新エーテル理論の可能性を示すため、「エーテル」の存在を前提に宇宙のインフレーション、ビッグバン、ダークエネルギーについて考察した。今回、宇宙の大規模構造が、泡が何層にも重なり合ったような構造をしていることと、ほぼ全ての銀河の中心に超大質量ブラックホールがあり、その質量が銀河の質量とある種の比例関係があることの二点に注目しさらに考察を深めた。その結果、宇宙の大規模構造が宇宙のインフレーションが続けて複数回、同時に複数の場所でおこることにより形成されることや、ダークマターが「エーテル」の一方向への流れにより引き起こされる引力現象であることが判明した。

はじめに

前報 「エーテル」の存在を前提とした万有引力についての考察 において、宇宙は「エーテル」で満たされ、全ての物質が「エーテル」で構成されていることが導き出され、それを前提に宇宙のインフレーションとビッグバン、ダークエネルギーについて考察した。

その結果、宇宙のインフレーション(以後、インフレーションと表記する)とは、「エーテル」が周囲の空間から超高速で一点へと集まり形づくられた「エーテル」の塊において、その球形の体積の増加により、内部の「エーテル」の弾性の力が周囲からの「エーテル」の衝突の圧力よりも大きくなり、「エーテル」が内部から弾かれ周囲へと爆発的に広がり引き起こされたものであると分かった。そして、ビックバンとは、インフレーションにより周囲に爆発的に広がった「エーテル」が、周囲から中心に向かってくる「エーテル」とぶつかり合いその速度を低下させ、互いに混ざり合いあちこちで「エーテル」の乱気流を発生するようになり、この乱気流により現在考えられている素粒子が作られ、それが非常に高速で動き回っていたため、宇宙が超高温の灼熱状態になった状態であると考えられた。

また、宇宙の膨張速度は、宇宙内部の「エーテル圧」と宇宙外部の「エーテル圧」との圧力差で決定されるものであり、ダークエネルギーとは、宇宙内部のほうが大きくなったために我々の宇宙から見ると反発力の様に見える力を生み出している、宇宙内外の「エーテル圧の差」であると分かった。現在我々の所属する宇宙が、その膨張速度を減速から加速へと転じ、さらに加速速度を上昇しているのは、ビッグバン後の宇宙において、始めは宇宙外部の「エーテル圧」よりも弱かった宇宙内部の「エーテル圧」が、宇宙外部の「エーテル圧」が宇宙の大きさがある時点を超えると宇宙の膨張により急激に弱くなるため、宇宙外部の「エーテル圧」よりも強くなったためであり、宇宙が膨張するにしたがいダークエネルギーが大きくなるのは、宇宙が膨張するにしたがい宇宙外部の「エーテル圧」がますます低くなり、宇宙内外の「エーテル圧の差」が大きくなるためであると考えられた。

今回、宇宙の大規模構造が泡が何層にも重なり合ったような構造していることと、ほとんどの銀河の中心に超大質量ブラックホールがありその質量が銀河の質量とある種の比例関係があること、の二点に注目しさらに考察を深めた。その結果、宇宙の大規模構造が宇宙のインフレーションが続けて複数回、同時に複数の場所でおこることにより形成されることや、ダークマターが「エーテル」の一方向への流れにより引き起こされる引力現象であることが新たに判明した。

以下、「エーテル」の存在を前提とした宇宙の成り立ちについて、新たに判明したことも含め、その詳細を報告する。

1.宇宙の始まり

1- 1.インフレーション以前の宇宙

現在、多くの科学者は、宇宙は無から誕生し、インフレーションにより急激に拡大 したのち、ビックバンを起こしたと考えている。しかし、新エーテル理論 では、無から物質が作られるとは考えない。全ての物質は、真の素粒子と考 えられる、「エーテル」により構成されていると考える。そのため、新エーテル理論 では、インフレーション以前の宇宙(以後、前宇宙と表記する)でも、すでに「エーテル」は存在し、空間は全て「エーテル」で満たされていたと考える。

初期の前宇宙

初期の前宇宙は、空間に「エーテル」のみが存在する、均一で静かな空間であったと考えられる。そして、その空間で「エーテル」は、あたかも無風状態の空気中の気体分子のように、ランダムな方向にランダムな速度で運動し、互いに弾性衝突を繰り返していたと考えられる。このような状態では、複数の「エーテル」が偶然一か所に集まる確率は非常に低い。しかし、非常に長い時間の中で、たまたま複数の「エーテル」が一か所に集まり衝突した場合、衝突してできた「エーテル」の塊(以後、「エーテル塊」と表記する)の周囲は一瞬「エーテル圧」の低い状態となり、そこに周囲から別の「エーテル」が引き寄せられて(実際は、引き寄せられるのではなく、より外側の「エーテル」に衝突され押されて)「エーテル塊」に集まってくる。一方、衝突した「エーテル」は、一瞬ののち、「エーテル」の弾性により互いにはじかれ再び周囲に広がっていく。すると、向かい合った流れを持つ複数の「エーテル」同士がぶつかり合うことになり、複数の「エーテル」が偶然一か所に集まる確率は、ランダムな方向に運動している「エーテル」の場合よりも格段に高くなる。そのため、「エーテル塊」がそのままなくなってしまう場合もあるが、再び「エーテル魂」が作られる確率はもちろん、複数の「エーテル塊」が作られる確率も高くなる。その結果、空間に存在する「エーテル塊」は徐々に増えていき、それにつれて「エーテル塊」が作られる確率がますます高くなる。そして、やがて長い時間を経て、多数の「エーテル塊」が空間のいたるところで作られ存在するようになる。

中期の前宇宙

空間にできた「エーテル塊」は、衝突と拡散を繰り返すうちに、一度の衝突で集まる「エーテル」の数を増やすとともに、多くの天体や銀河のように、回転運動(スピン)をするようになる。そのため、衝突してできた「エーテル塊」が弾性により弾かれ周囲に広がっていき、周囲に新たな「エーテル」の集まりを作り始めると、周囲に広がっていった「エーテル」は、全てスピンの方向に流されるため一か所に集まり、そこに新たな「エーテル塊」を一つ作る。作られる「エーテル塊」の大きさは、衝突した「エーテル」が弾性により弾かれるまでの時間とそれまでに集まってくる「エーテル」の量により決まる。そのため、周囲の「エーテル」の密度が等しい場合、「エーテル塊」のスピンのスピードと周囲から向かってくる「エーテル」の速度が変化せず毎回同じならば、毎回同じ大きさの「エーテル塊」が作られる。つまり、新しく作られる「エーテル塊」は元の「エーテル塊」と見分けのつかない同じものになり、粒子の状態である「エーテル塊」と波の状態である拡散した状態を非常に短い間隔で繰り返しながら、空間に安定して存在するようになる。これが、素粒子(現在素粒子と考えられている物質。単に素粒子と表記する)の誕生である。

誕生した素粒子は、その引力で他の素粒子たちと引き合い集まり、弱い力や強い力により一つにまとまり、陽子や中性子、原子核を作り出す。やがて、その原子核に素粒子である電子がとらえられ、原子を形成し、やがて分子をへて物質が作られる。なお、この時作られる物質は、もともとの空間が均一で静かであったため、ビックバンのような熱い宇宙で作られる水素やヘリウムではなく、元素の中で最もエネルギー状態が低く安定な鉄族である。誕生した物質は初め空間に均一に存在していたが、互いの引力で引きあい、近くの物質同士がぶつかり、空間のあちこちでより大きな物質の塊を作る。新しくできたより大きな物質同士も互いの引力で引き合いぶつかり、さらに大きな物質の塊を作る。そして、これを非常に長い時間繰り返し、その大きさと質量を巨大化させていき、やがて、その質量が十分に大きくなると、自らの重力により潰され、収縮しブラックホールとなる。

後期の前宇宙

誕生したブラックホールは、巨大な引力で回りの物質と周囲の「エーテル」を引き寄せ、吸収し成長する。また、隣のブラックホールと互いに引き合い衝突し合体しより巨大なブラックホールを形成する。このようにして、一度できたブラックホールは吸収と合体を繰り返し続け、長い時間をかけ、超大質量ブラックホールへと成長する。ただし、この時作られる超大質量ブラックホールは、決して一つだけではなく、ほぼ同時期に複数作られ、空間に多数ほぼ等間隔に存在する。

現在、ブラックホールの中心には、特異点という、密度と重力が無限大になり、この世に存在するあらゆる物理法則が通用しない、特別な場所があると考えられている。新エーテル理論では、それは、物質が物質として存在できなくなり、「エーテル」としてのみ存在する場所だと考える。新エーテル理論では、素粒子は、「エーテル」が一か所に集まった粒子の状態と「エーテル」の弾性により周囲に弾かれ広がった波の状態を、非常に短い間隔で繰り返していると考える。しかし、ブラックホールの中心のように重力が非常に強く、「エーテル圧」が非常に高い場合は、「エーテル」の弾性の力よりも外側から「エーテル」を押し付ける力のほうが強くなり、「エーテル」は周囲に広がることができなくなり、素粒子を形作ることはできず、「エーテル」の塊として存在するようになる。この、ブラックホールの中心にできる「エーテル塊」こそが、特異点である。そして、この特異点である「エーテル塊」が、ブラックホールの成長とともに、周囲から物質や「エーテル」に衝突されてより大きな「エーテル塊」を形作っていき、やがて「超巨大エーテル塊」へと成長する。

インフレーション直前の前宇宙

成長し続ける「エーテル塊」内部の「エーテル」の弾性による圧力は、「エーテル塊」内部の「エーテル」の数に比例し、その数は「エーテル塊」の体積に比例する。一方、「エーテル塊」が外側から受ける圧力は、「エーテル塊」の表面に当たる「エーテル」の数に比例し、その数は「エーテル塊」の表面積に比例する。「エーテル塊」は球形であるため、体積は半径の三乗に比例し、表面積は半径の二乗に比例する。そのため、「エーテル塊」が大きくなるにしたがい増加する「エーテル塊」にかかる圧力は、外からかかる圧力の増加よりも内部の圧力の増加の方が大きい。このため、「エーテル塊」が大きくなっていくと、ある時点で「エーテル塊」内部の圧力の方が外部からの圧力よりも大きくなり、内部から弾かれ「エーテル」が外に広がり始める。これが、インフレーションの始まりである。

1- 2.インフレーション中の宇宙

「エーテル塊」内部の圧力の方が外部からの圧力よりも大きくなり、「エーテル」が内部から弾かれ始めると、弾かれた「エーテル」が、「エーテル塊」に向かってくる「エーテル」と衝突するため、外からの「エーテル圧」が低くなり内外の圧力差がさらに大きくなる。このため、連鎖的に「エーテル塊」内部の圧力の方が急激に大きくなり「エーテル」が爆発的に周囲に弾き飛ばされ空間へ広がっていく。これがインフレーションである。

一回目のインフレーション

一回目のインフレーションは空間に多数存在する「超巨大エーテル塊」からほぼ同時に始まり、それぞれが独立して新しい宇宙空間を誕生させる。インフレーションにより「エーテル塊」から弾き飛ばされ爆発的に広がっていく「エーテル」は、中心からの「エーテル圧」が非常に大きいため、周囲にある「エーテル」を弾き飛ばし一緒に周囲の空間に球状に広がっていく。そして、この時、周囲から中心に向かってくる「エーテル」と衝突しその速度を低下させるが、中心から次々にやってくる後ろの「エーテル」に押され、その速度を再び上げ、周囲から向かってくる「エーテル」を弾き返し、外へとどんどん拡大する。一方、外へ弾き返された「エーテル」は、今度は、中心に向かってくる「エーテル」に衝突され、弾き返され再び中心に向かってくるが、再度中心からやってくる「エーテル」に衝突し、弾き返される。これを繰り返すことにより、球状の宇宙空間の表面の部分の「エーテル」密度が高くなると同時にその密度の高い部分の厚さも増加する。

密度と厚さが増加した球状の宇宙空間の表面の部分では、「エーテル」同士がぶつかり、乱気流を発生し、いたるところで「エーテル塊」を形成する。このとき、「エーテル」の密度とその速度は非常に高いため、できた「エーテル塊」は拡散することができずそのまま特異点となる。そして、周囲から「エーテル」に衝突されてより大きな「エーテル塊」を形作っていく。この時の成長速度は周囲の「エーテル」の密度と速度が非常に高いためきわめて速く、短時間で「エーテル塊」内部の圧力が外部の圧力よりも大きくなり、二回目のインフレーションを、球状の宇宙空間の表面の複数の場所で、ほぼ同時に開始する。

二回目以降のインフレーション

上記のように、一回目のインフレーションで形成された複数の「エーテル塊」は、急激に成長し、二回目のインフレーションをほぼ同時に複数の場所で起こし、それぞれが、新たな球型の宇宙空間を誕生させる。そして、二回目のインフレーションでも、一回目のインフレーションと同じ経過をとり、宇宙空間の表面の部分に複数の「エーテル塊」を形成する。この時、表面の部分の「エーテル圧」が十分に高い場合、一回目のインフレーションと同じように、「エーテル塊」が急激に成長し三回目のインフレーションをほぼ同時に複数の場所で起こしそれぞれが新たな球型の宇宙空間を誕生させる。そして、以後、宇宙空間の表面の部分の「エーテル圧」が十分に高いあいだは、次々に連鎖的に次のインフレーションを起こしていき新たな宇宙空間を誕生させ続ける。つまり、宇宙全体では、新たに起こるインフレーションは常に複数が一度に起きている。そのため、宇宙全体としてインフレーションを考える場合は、前宇宙で起きた一回目のインフレーションを第一世代のインフレーション、第一世代のインフレーションで作られた球型の宇宙空間の膜の部分でほぼ同時に起きた複数のインフレーションを第二世代のインフレーション、第二世代のインフレーションで作られた球型の宇宙空間の膜の部分でほぼ同時に起きた複数のインフレーションを第三世代のインフレーションと呼ぶことにする。そして、以下同様に、一つ前のインフレーションで作られた球型の宇宙空間の膜の部分で起こる複数のインフレーションを回数ではなく、順番に世代として呼ぶことにする。また、各世代のインフレーションで誕生した宇宙空間も同様に、第一世代の宇宙空間、第二世代の宇宙空間と順番に世代で呼ぶことにする。

それぞれのインフレーションにより作られた宇宙空間の中心にある「エーテル塊」は、時間が経つにつれて小さくなり、そこから弾かれ空間に広がっていく「エーテル」は少なくなってくる。そのため、中心部の「エーテル」は徐々にその密度を低下させる。つまり、インフレーションを起こした空間は球形の表面の部分の「エーテル密度」が内部の「エーテル密度」に比べ極端に高くなり、あたかも石鹸の泡のような構造を作ることになる。そして、インフレーションは、一度起こるとそれに引き続き、複数の場所で連鎖的に起こるため、宇宙空間に「エーテルの泡」のような構造が多数形成される。そしてその後、この「エーテル密度」の高い泡状の膜の部分で素粒子が誕生し物質となり、それが、現在宇宙に存在する全ての構造物を構成することになる。そのため、現在我々が観測する宇宙は、銀河が石鹸の泡状の空間の膜の部分にのみ存在する、宇宙の泡構造とも呼ばれる、宇宙の大規模構造を形成したのである。

最後のインフレーション

一回目のインフレーションで形成される「エーテル」の球の表面の膜状の部分には、前記のように球の中心部と球の外部の両方から「エーテル」が向かってくる。そのため、膜の境界に近い部分に存在する「エーテル」の量は、膜の外部から向かってくる「エーテル」と衝突し混じりあい、増加する。しかし、膜の内部では、膜の外部から流入してくる「エーテル」が、膜の境界の部分で膜の内部から外部に向かう「エーテル」と衝突し交じり合いその流れを止めてしまうため、新たな「エーテル」の増加はない。したがって、連続してインフレーションが起こると、膜構造の内部では、空間が拡大するのに「エーテル」の量は変化しないため、「エーテル密度」が低下する。そのため、「エーテル圧」が低下し、継続してインフレーションを起こすことができなくなる。その結果、インフレーションが終了し、最後のインフレーションとなる。

2.宇宙の形成と成長

2-1.ビッグバン中の宇宙

ビッグバン中の宇宙での出来事は、多くの研究者たちに研究され、その経過が詳しく解き明かされており、現在広く信じられている。しかし、反粒子の消失の理由などはまだ解明されてはいない。その点も含め、ビッグバン中の宇宙について、現在の学説をもとにその経過の詳細を述べる。

素粒子の形成とビッグバンの始まり

最後のインフレーションで発生した様々な大きさの「エーテル」の乱気流は、その中心にそれぞれその乱気流の大きさに応じた「エーテル塊」を形成する。このうち、ある程度以上の大きさの乱気流の中心にできた「エーテル塊」は、周囲の「エーテル」の密度と中心に向かってくる速度が非常に高いため、弾性により弾かれて周囲に拡散することができず、特異点となるが、それ以外の「エーテル塊」は、弾性により弾かれて周囲に広がり、周囲の「エーテル」と衝突し、新たな乱気流と「エーテル塊」を形成する。これらの「エーテル塊」はやがて、中期の前宇宙での経過と同じ経過をとり、素粒子へと変化する。ただし、この場合は、中期の宇宙と異なり、「エーテル」の密度とその速度が非常に高いため、短時間に多数の素粒子が作られる。そして、できた素粒子は、激しい「エーテル」の動きに巻き込まれ非常に高速で動き回るため、宇宙が超高温の灼熱状態なる。これが、ビックバンの始まりである。

反素粒子の消失

ビッグバンが始まり間もない宇宙では、できた素粒子は、素粒子どうしが衝突し激しく動き回り、周囲に新たな乱気流と素粒子を連鎖的に形成する。しかし、時間が経過し宇宙空間が拡大すると、「エーテル」と素粒子の密度が低くなり、互いの衝突回数も低下し、新たな乱気流ができ難くなり素粒子の形成も起こり難くなってくる。

現在の学説では、ビッグバン宇宙で、素粒子と反素粒子がペアで生まれたが、何らかの理由で、宇宙誕生から10-10秒後の時点で10億個の反素粒子に対して素粒子が1個多かったため、やがて素粒子と反素粒子が衝突し消滅しあい、反素粒子はなくなり、素粒子だけが残ったと考える。

新エーテル理論では、誕生した宇宙空間で最初に形成される素粒子と半素粒子はペアで誕生したのではなくそれぞれ独立して誕生し、反素粒子は粒子を構成する「エーテル」の流れる方向(回転の向き)が素粒子と逆方向の粒子であると考える。したがって、素粒子と反素粒子の数に差ができた原因は、素粒子の生成の最初にできる「エーテル塊」の回転の方向に回転しやすい方向と回転しにくい方向があったためであると考える。

インフレーション中に発生する「エーテル塊」の回転のしやすい方向は、インフレーションの中心となった「エーテル塊」の回転方向により影響を受ける。中心の「エーテル塊」の回転が左方向だった場合は、「エーテル塊」から周囲へ弾き飛ばされる「エーテル」の向きも左向きとなる。そのため、周囲から中心の「エーテル塊」に向かってくる「エーテル」と衝突すると、そこに、左回りの乱気流が発生しやすくその中心にできる「エーテル塊」の回転方向も左回りが多くなる。

現在我々が観察する素粒子は、同時期に複数の場所で発生した、最後のインフレーションで発生した「エーテル塊」から作られたものである。そして、そのインフレーションの中心となった「エーテル塊」は全て、その一つ前のインフレーションで発生したものである。したがって、その一つ前のインフレーションの「エーテル塊」の回転方向が左回りだった場合、最後のインフレーションの中心となった「エーテル塊」も左回りが多くなり、それを中心にして発生する最後のインフレーションでも左回りの「エーテル塊」が多く発生する。そのため、それをもとに作られる素粒子も左回転の「エーテル」の流れ(スピン)を持つ粒子が右回転の「エーテル」の流れ(スピン)を持つ粒子より多くなる。以上が、ビッグバン中の宇宙で存在した素粒子と反素粒子の数が異なっていた理由であり、我々は、数が多く存在し、衝突による対消滅で残った粒子を素粒子として認識しているのである。

原子の形成

宇宙誕生から1万分の1秒後、さらに宇宙が膨張し宇宙の温度が下がると(1兆度Cほどと考えられている)、クォークや電子などの素粒子の動きが鈍くなり、クォークが3つずつ結合し陽子と中性子が作られた。しかし、この時はまだ、宇宙の温度が高いため、陽子、中性子、電子は空間を自由に飛び回っていた。

その後、さらに宇宙が膨張し宇宙の温度が下がってくると、それまで自由に空間を飛び回っていた粒子の動きが鈍くなり、宇宙誕生から3分後、宇宙が約10億度Cのとき、陽子と中性子が結合し、ヘリウムの原子核ができた。そして、宇宙誕生から38万年後、さらに宇宙の温度が下がり約2700度Cのとき、電子の動きが鈍くなり原子核にとらえられ、電気的に中性な水素原子やヘリウム原子が誕生した。

宇宙の晴れ上がり

光は、電子や陽子などの電荷をもつ粒子(特に電子)とぶつかりやすい性質を持つ。そのため、原子が誕生する前の宇宙では光は絶えず電子にぶつかり直進することができなかった。この状態は、微細な水滴の集まりである霧の向こう側からやってくる光が水滴にぶつかりまっすぐに進めず、そのため、霧の向こうに何があるのかを見ることができない状況と同じである。つまり、原子誕生前の宇宙では、電子が霧の水滴の役割を果たし、宇宙を不透明な霧のかかったような状態にしていたのである。

しかし、原子が誕生し、空間を自由に飛び回る電子がなくなると、光はぶつかる相手がいなくなるため、まっすぐに進めるようになる。このため、宇宙は、あたかも霧が晴れたように透明となった。これが宇宙の晴れ上がりであり、ビッグバンの終了と考える。

2-2.ビッグバン後の宇宙

現在、ビッグバン後の宇宙での天体や銀河や銀河団、宇宙の大規模構造の形成にダークマターが重要な役割を果たしたと考えられている。ダークマターは普通の物質の約5倍宇宙に存在すると推定されており、ビッグバン後のまだ天体が何一つない宇宙で、ダークマターの濃淡がまずでき、そこに水素やヘリウムなどのガスが引き寄せられることにより、銀河や宇宙の大規模構造などが生まれていったと考えられている。コンピュータシミュレーションでは、ダークマターが存在しなかった場合、宇宙誕生から138億年たった現在でも、宇宙の大規模構造ができないことが導き出されている。

ダークマターの正体

ダークマターとは、引力を持つ未知の物質であると考えられているが、我々には観測できず、その正体はいまだ不明である。しかし、上記のように宇宙の成り立ちを考えるうえでなくてはならない物質であり、また、銀河や銀河団の大きさとその回転速度の問題や重力レンズの存在などにより、その存在は疑いのないものと考えられている。

しかし、新エーテル理論では、ダークマターとは質量(すなわち引力)をもった未知の物質ではなく、インフレーションで引き起こされた特定の方向に向かう「エーテル」の流れであり、その「エーテル」が流れていく方向に、物質を構成する「エーテル」が流されることにより引力と同じ作用が生じているものと考える。以下、ダークマターを「エーテルの流れ」と仮定した場合のビッグバン後から現在までの宇宙の成り立ちについて詳しく考察する。

観測可能な宇宙

ビッグバン後の宇宙の成り立ちについて考察するために、先ず、現在我々が観測している宇宙が全宇宙の中でどれくらいの範囲であるのかを明確にし、それを前提とし、我々が観測している宇宙の成り立ちについて考察する。

現在観測可能な宇宙の大きさは、半径410億光年程度だと考えられており、石鹸の泡が重なり合ったような大規模な構造をし、銀河の集中している場所と銀河のない場所とがある。しかし、宇宙のどこを見てもその大規模な構造は同じように存在し、よりマクロ的な視点で見ると、宇宙は均一な構造を持つといえる。そのため、観測可能な宇宙は、初期宇宙のごく小さなほぼ均一とみなせる領域が、インフレーションにより一瞬にして大きな宇宙へと急膨張してできた、全宇宙のごく小さな一部と考えることができる。

新エーテル理論では、インフレーションとは、周囲から「エーテル」が集まってできた「エーテル塊」が、外部からかかる「エーテル」の圧力よりも内部の「エーテル」の弾性による圧力が高くなったために、「エーテル塊」の「エーテル」が周囲へ弾かれ周囲から向かってくる「エーテル」とぶつかり弾き飛ばしながら爆発的に広がったものだと考える。その結果インフレーションを起こした空間は球形に広がり、球の表面の部分の「エーテル」の濃度が極端に高くなり、「エーテルの泡」を形成する。そして、最後のインフレーションでは、この泡の表面の膜部分に物質が集まり銀河や銀河団ができ、石鹸の泡が重なりあったような宇宙の大規模構造のうちの一つの泡状の構造を形成したと考える。

現在、我々が存在している宇宙ではもはやインフレーションは起こっていない。そのため、我々は、最後のインフレーションを起こした宇宙空間の中に存在していることに間違いはないが、我々は泡状の宇宙の大規模構造を観察している事より、我々の周囲に広がっている宇宙も、我々が存在している空間がインフレーションを起こした時とほぼ同じ時期にインフレーションを起こしていたことになる。つまり、我々は、一世代前のインフレーションで形作られた泡状の宇宙空間の膜の部分に、我々の宇宙空間とほぼ同時にインフレーションを起こした他の多くの宇宙空間と一緒に存在し、現在の宇宙を観察していると考えられる。

「エーテルの流れ」と宇宙の成り立ち

ダークマターを「エーテルの流れ」と仮定した場合のビッグバン後の宇宙の成り立ちを考察する場合、「エーテルの流れ」を解明することは不可欠なことである。現在の宇宙には、インフレーションにより引き起こされた特定の方向への「エーテルの流れ」がある。そして、この流れにより、物質が一定の方向に流され集められることにより、天体や銀河、銀河団が作られたと考えられる。インフレーションにより引き起こされた「エーテルの流れ」については、上記の 1-2.インフレーション中の宇宙 の中で詳しく述べているが、以下、インフレーションとそれに引き続くビッグバン後の宇宙で「エーテルの流れ」がどのように作られどの方向に流れているかを明らかにし、その「エーテルの流れ」がどのようにして現在の宇宙を形作ってきたのかを詳しく考察する。

@.第一の流れと宇宙の膨張とダークエネルギー

「エーテルの流れ」の中で一番大きな流れは、最後のインフレーションの一世代前のインフレーションで引き起こされたものである。この時の「エーテルの流れ」は、インフレーションが始まるまでは、インフレーションの出発点、すなわち最初の「エーテル塊」があった中心へと向かう流れが主であった。しかし、インフレーションが始まると、反対に中心から周囲へ放射状に向かう流れが主となり、周囲から中心へ向かってくる「エーテル」を弾き飛ばしながら周囲へと広がり、いわゆる「エーテルの泡」構造を形作った。我々の存在する宇宙空間と観察可能な宇宙は、全てこのインフレーションで形成された「エーテルの泡」の膜の部分に存在している。現在もこの中心から周囲へと広がる「エーテルの流れ」は続いており、そのため、「エーテルの泡」、すなわち我々の存在する宇宙空間と観測可能な宇宙は今も膨張し続けている。

宇宙の膨張速度は、誕生後70億年頃までは減速していたがその後加速へと転じ、現在まで加速膨張を続けていることが観測から確かめられている。しかし、この現象は非常に不可解な現象である。なぜならば、宇宙誕生のインフレーションにより急激な速度で膨張を始めた宇宙は、その後、宇宙内部の物質の引力により宇宙を収縮させる力が働くため、その膨張速度が減速するはずだからである。それなのに、実際は観測で確かめられているように、インフレーションの後減速膨張を続けていた宇宙は、70億年ほど後に加速膨張に転じ、しかもその加速の度合をどんどん増加させている。これは、地球上で上へと投げ上げられたボールが、最初は引力の作用により徐々に速度を落としながら上昇していたが、途中から急に上昇速度を加速させ上昇することと同じである。この現象を説明するためには、宇宙には膨張を加速させるためのエネルギーが存在すると考えなければならない。現在、多くの物理学者が、宇宙の膨張速度の加速を引き起こしているエネルギーを「ダークエネルギー」と名付け、その正体を探るために日夜研究を続けている。しかし、現在のところその正体は明らかになっていない。

「エーテル」の存在を前提とする新エーテル理論では、「ダークエネルギー」とは、前報 「エーテル」の存在を前提とした万有引力についての考察 や本報の はじめに で述べたように、宇宙の内外の「エーテル圧の差」であると考える。現在、宇宙の膨張が加速しているのは、宇宙が膨張するにつれて宇宙外部の「エーテル圧」が宇宙内部の「エーテル圧」よりも低くなり、宇宙内部の「エーテル」が外部に向かい押されているためである。また、宇宙が膨張するにしたがいダークエネルギーが大きくなるのは、宇宙が膨張するにしたがい、宇宙外部の「エーテル圧」がより低くなり、宇宙内外の「エーテル圧の差」がより大きくなるためである。

また、最後のインフレーションの一世代前のインフレーションの初期では、上記の、流れる向きが反対の二つの「エーテル」の流れがぶつかり混ざり合うことで生じる、「エーテル」の乱急流により新たに作られる「エーテル塊」も、泡構造の膜の部分のいたるところに存在した。しかし、そのうちの十分に規模の大きな乱気流が最後のインフレーションを起こしたため、この時インフレーションを起こしていなかった「エーテル塊」とその周囲の乱気流は、周囲で起こったインフレーションに巻き込まれその多くは消失し新たな流れの一部になった。

現在多くの科学者は、この一世代前のインフレーションのみを、宇宙のインフレーションと考えている。そして、泡状の宇宙の大規模構造は、インフレーション時に存在したダークマターのわずかな濃度の差をもとに長い年月をかけ形作られてきたと考えている。しかし、新エーテル理論ではインフレーションはさらにもう一度、しかも複数の場所でほぼ同時に起こったと考える。そして、この最後の世代のインフレーションにより、多数の「エーテルの泡」構造が一気に作られ、それが現在我々が観測している泡状の宇宙の大規模構造のもととなったと考える。

A.第二の流れと宇宙の大規模構造

二番目に大きな流れは最後のインフレーションで引き起こされたもので、基本的には上記の一世代前のインフレーションで引き起こされた流れと同じ流れである。そのため、インフレーション発生後は「エーテルの泡」の中心から周囲の膜の部分に向かう流れが主となり急速に膨張した。そして、周囲で同時期に発生したインフレーションでできた、同じように急速に膨張している複数の「エーテルの泡」と衝突し、互いの膜の部分を共有し合う、「エーテルの泡」が多数重なりあった構造を作った。

急速に膨張している複数の「エーテルの泡」がぶつかり合い、互いの膜を合体させ共有すると、膜の部分において泡の内外という概念がなくなり、「エーテルの流れ」は膜の境界から膜の内側に向かう流れが主なものとなる(最終的には、両方向から来た「エーテルの流れ」が混ざり合うため、一定方向への流れは消失する)。すると、物質はこの膜の内側に向かう「エーテルの流れ」に流され膜の内部へと集められ、集められた物質は互いの引力により互いに集まり合い、それが天体や銀河を作った。そのため、「エーテルの泡」の膜の部分にのみ天体や銀河が作られ、現在の、泡が多数重なりあったような形状の宇宙の大規模構造ができた。

B.第三の流れと銀河と超大質量ブラックホール

第三の流れは最後のインフレーションで作られた「エーテルの泡」の膜の部分に存在する大小様々な「エーテルの乱気流」である。乱気流の中心には「エーテル塊」が作られるが、ある程度以上の大きさの乱気流の中心にできた「エーテル塊」は、周囲の「エーテル」の密度と中心に向かってくる速度が非常に高いため、弾性により弾かれて周囲に拡散することができず、周囲の「エーテル」を集め成長し続ける。しかし、一世代前のインフレーションで作られた「エーテル塊」とは違い、周囲の「エーテル圧」が十分に高くないため、インフレーションを起こす大きさまで成長することができず、空間に存在し続けることになる。この「エーテル塊」が特異点であり、これが、ビッグバンを経て、周囲にできる原子や素粒子や「エーテル」を集め成長し、超大質量ブラックホールになり、同時に、その周囲に多数の星を誕生させ、銀河を形成する。

現在、我々が観測する銀河の中心には、その銀河の大きさに比例する大きさの超大質量ブラックホールが存在する。なぜ、銀河の中心にその銀河の大きさに比例するブラックホールが存在し、それがどのようにして形成されたのかは現在も分かっていない。新エーテル理論では、上記のように、銀河は比較的規模の大きな「エーテルの乱気流」の中心に形成されるブラックホールに向かい流れてくる「エーテルの流れ」により物質が集められ形成されると考える。そのため、形成される銀河の大きさはもとになる「エーテルの乱気流」の大きさにより決定される。このとき、乱気流の規模が大きく、周囲から中心に向かってくる「エーテル」の量と流れのスピードの大きな乱気流ほど、中心にできるブラックホールの特異点(「エーテル塊」)の大きくなる速度が早い。そのため、乱気流の大きさとその中心にできるブラックホールの大きさは比例し、結果的に銀河の大きさとその中心に存在するブラックホールの大きさも比例することになる。これが、現在、多くの銀河の中心に銀河の大きさに比例した大きさの超大質量ブラックホール存在する理由である。

また、この銀河の中心へと向かう「エーテル」の流れは現在も続いているため、現在観測される銀河は存在する物質の質量よりも遥かに大きな引力を持つ事になり、実際にそれが様々な観測により実証されている。そして、それを説明するために、宇宙空間には現代の科学では観測できない引力を持つ未知の物質であるダークマターが存在し、銀河はダークマターの塊であるダークハローの中に存在していると考えられているのである。

3.宇宙の未来

3-1.現在考えられている宇宙の未来

宇宙の未来は宇宙の膨張速度がどのように変化していくかにより決定される。現在、宇宙の膨張はダークエネルギーにより加速されていると考えられているが、ダークエネルギーの正体は今のところ不明である。そのため、ダークエネルギーが将来にわたって一定なのか、増加するのか、減少するのかはわかっていない。現在、宇宙の将来について、大きく以下の3つのシナリオが考えられている。

一番目のシナリオはダークエネルギーが一定で今後も宇宙の膨張の加速が同じように続いた場合である。この場合、現在引力の作用でまとまっている銀河は、今後もまとまったままで存在し、天の川銀河とアンドロメダ銀河のように近い距離にあり、互いの引力で引き合い近づきあっている銀河は衝突し一つにまとまる。しかし、それ以外の遠い場所にある銀河は宇宙の膨張によりだんだん離れていき、長い時間の後、互いに観察できなくなるまでその距離が離れてしまうと考えられている。

二番目のシナリオはダークエネルギーが今後増加し宇宙の膨張の加速の割合がどんどん増加した場合である。その場合、現在引力でまとまっている銀河も、やがて、引力よりも宇宙の膨張の力のほうが強くなり互いにバラバラに離れていってしまう。そして、最終的には膨張の力が非常に強くなり物質も素粒子へと引き裂かれてしまうビッグリップが起こると考えられている。

三番目のシナリオはダークエネルギーが今後減少していった場合である。この場合、宇宙の膨張の速度は宇宙に存在する物質の引力により徐々に減速し、やがて宇宙は収縮し始める。そして、最終的には物質がすべて一点に再び集まりその引力により押しつぶされてしまうビッグクランチが起こると考えられている。

3-2.新エーテル理論が考える宇宙の未来

新エーテル理論では、ダークエネルギーは宇宙空間の膨張につれ強くなったり弱くなったりを繰り返し、宇宙空間の膨張速度も加速や減速を繰り返すが、全体としては膨張し続けると考える。その場合、今後、膨張し続ける宇宙は、最後の世代のインフレーションで作られた複数の泡状の空間が膨張し衝突して、互いの膜の部分を共有し合う泡が多数重なりあった宇宙の大規模構造を作った時と同じように、同世代のインフレーションで作られた複数の宇宙空間が膨張し、衝突して合体した、より大きな泡状の構造をした宇宙を作る。そして、この同世代のインフレーションで作られた宇宙空間同士の合体は、新しい世代のインフレーションで作られた宇宙空間から世代を順番にさかのぼり、最終的には最初のインフレーションでできた宇宙空間も合体し、超巨大な泡状の構造をした宇宙を作ると考える。

最終的にできた超巨大な泡状の宇宙では、それまでの長い時間の中で、銀河やその中心のブラックホールは、互いの引力で引き合い近づき合体を繰り返してより大きな銀河とブラックホールに成長してきているが、それと同時に、宇宙に存在する物質も、元素の中で最もエネルギー状態が低く安定な鉄族に変化し存在するようになる。そのため、最終的にできた泡状の宇宙は、後期の前宇宙と同じ経過を取り、宇宙の始まりとなるインフレーションを再びおこすと考えられる。つまり、超巨大な「エーテル塊」から始まった宇宙は最終的に再び超巨大な「エーテル塊」を形成し、それが新たな宇宙を誕生させ成長させるというサイクルを繰り返すのである。

以上、新エーテル理論が考える宇宙の未来の概要を述べたが、以下、その内容を更に詳しく述べる。

存在する宇宙の数

宇宙の未来がどうなるかを考える場合、宇宙の膨張速度がどのように変化するのかと並び、我々が所属している宇宙以外に別の宇宙が存在するかどうかが重要な前提条件となる。なぜならば、もし我々の所属する宇宙の周囲に別の宇宙が存在するならば、宇宙が膨張していけば、やがて周りに存在する宇宙に近づいて衝突し、互いに影響を及ぼしあうことになるからである。しかし、先に述べた、現在考えられている宇宙の未来についての3つのシナリオでは、我々の所属する宇宙以外の別の宇宙については全く考えられていない。現在多くの科学者は、別の宇宙の存在については、判断するための材料が何もないため否定も肯定もせず、観測できる宇宙の中だけを研究対象としていると思われる。しかし、新エーテル理論が考える宇宙では、その成り立ちから、必然的に宇宙が多数存在することが導き出されている。

新エーテル理論では、宇宙は空間に存在する超巨大な「エーテル塊」がインフレーションを起こすことから始まると考えるが、その、最初のインフレーションを起こす「超巨大エーテル塊」は後期の前宇宙の空間に多数存在していたと導き出されている。そして、その複数の「超巨大エーテル塊」は、ほぼ同時期にそれぞれ独立してインフレーションを開始し独自の宇宙空間を作っていった。つまり、宇宙空間は最初に存在しインフレーションを起こした「超巨大エーテル塊」と同じ数だけ存在することになり、それらの宇宙空間も我々が属している宇宙空間と同じ経過をとり、それぞれ膨張し続けていると考えられる。

宇宙内外の「エーテル圧の差」と宇宙の膨張速度の変化

現在我々の属している宇宙は、誕生後70億年ごろまでは膨張速度を減速させていたがその後反対に膨張速度を加速していることが観測で確かめられている。しかし、なぜ膨張速度が加速されるように成ったかは解明されておらず、そのため、今後宇宙の膨張速度がどのように変化するのかも分かっていない。しかし、新エーテル理論では、宇宙の膨張速度は宇宙空間内外の「エーテル圧の差」で決定されると考える。そのため、宇宙の膨張速度の変化を予測するためには、宇宙空間の内外の「エーテル圧の差」がどうなるかを考える必要がある。

宇宙の始まりであるインフレーションは、「エーテル塊」内部の圧力が外部からの圧力よりも大きくなり、「エーテル」が「エーテル塊」から周囲に弾かれることにより始まる。すると、今度は弾かれた「エーテル」が、「エーテル塊」に向かってくる「エーテル」と衝突するため、外部からの「エーテル圧」が急激に低くなる。そのため、インフレーション開始直後の宇宙では、宇宙空間内部の「エーテル圧」の方が宇宙空間外部の「エーテル圧」よりも極端に高くなり、宇宙は急激に膨張する。その後、膨張を続ける宇宙空間では、中心の「エーテル塊」が「エーテル」を弾き飛ばして失い徐々に小さくなって行くため、「エーテル塊」が単位時間に弾き飛ばす「エーテル」の数が少なくなり、中心から周囲に向かう「エーテル」の数が少なくなる。その上、宇宙空間自体の体積も膨張により大きくなっていくため、「エーテル塊」から弾かれ広がった「エーテル」による「エーテル圧」は急激に低くなる。一方宇宙空間外部の「エーテル」の数は、宇宙空間の体積が大きくなっても急激に低下することはないため、この時点では宇宙空間外部の「エーテル圧」はほとんど変わらない。そのため、宇宙空間が膨張を続けていくと、ある時点で宇宙空間内外の「エーテル圧」の大きさは逆転し、宇宙空間外部の「エーテル圧」の方が高くなる。しかし、この時の宇宙空間内外の「エーテル圧の差」はそれほど大きくなく、その後は、「エーテル塊」から弾かれ広がった「エーテル」による「エーテル圧」の低下が、宇宙空間が膨張するにしたがい穏やかになってくるため、宇宙は膨張速度を低下させながら膨張を続ける。

宇宙の「エーテル」は、インフレーションが始まるまでは単純に、インフレーションの出発点となる「エーテル塊」を中心に周囲から集まるため、中心の「エーテル塊」に向かう流れを作っている。この時、空間には「エーテル塊」が複数あり、「エーテル塊」と「エーテル塊」の間にある空間では「エーテル」がそれぞれより近い方の「エーテル塊」へ向かう流れを作っている。そのため、「エーテル塊」から離れ空間の中央に向かうほど「エーテル」の数が少なくなり、「エーテル塊」へ向かう速度も遅くなり、「エーテル圧」は急激に低くなる。そのため、上記の様に、膨張により内部の「エーテル圧」が低くなり外部の「エーテル圧」のほうが高くなった宇宙空間がそのまま膨張を続けると、今度は宇宙空間外部の「エーテル圧」が急激に低くなるため、反対に宇宙空間内部の「エーテル圧」の方が高くなり、膨張速度を加速し膨張するようになる。この時、宇宙空間外部の「エーテル圧」は「エーテル塊」と「エーテル塊」の間にある空間の中間に向かうにしたがって急激に低くなるため、宇宙空間外部の「エーテル圧」が低くなり宇宙空間内部の「エーテル圧」の方が高くなった宇宙空間では、膨張するにしたがいその膨張速度を急激に加速する。

膨張速度を減速から加速に変え、その膨張速度を急激に増加させながら膨張している宇宙空間は、やがて空間の中間辺りで、反対側から同じ経過をとり急激に膨張してくる、周囲に存在する同世代のインフレーションで作られた複数の別の宇宙空間と衝突する。そして、最後の世代のインフレーションで作られた複数の泡状の宇宙空間が膨張し衝突して、互いの膜の部分を共有し合う、泡が多数重なりあった様な宇宙の大規模構造を作った時と同じように、同世代のインフレーションで作られた複数の宇宙空間が合体した、より大きな泡状の構造をした宇宙を作る。この衝突と合体により、それまで急激に加速膨張していた個々の宇宙空間は、反対に急激にその膨張速度を減速しやがて膨張を止めることになる。ただし、この同世代のインフレーションで作られた宇宙空間の合体は、全て一世代前のインフレーションで作られた球型の宇宙空間の膜の部分に存在するので、その後は、その宇宙空間の膨張の影響により膨張を続けることになる。

以上、一世代前のインフレーションで作られた球型の宇宙空間の膜の部分で起きる、同世代同士のインフレーションで作られる宇宙空間の、誕生から合体までの、一連の宇宙空間内外の「エーテル圧の差」の変化と膨張速度の変化を明らかにした。この同世代のインフレーションで作られた宇宙空間同士の合体は、最後の世代のインフレーションで作られた宇宙空間から世代を順番にさかのぼり、最終的には最初のインフレーションでできた宇宙空間同士も合体するため、上記の一連の宇宙空間内外の「エーテル圧の差」の変化と膨張速度の変化はインフレーションの世代の数だけ繰り返される。

銀河と宇宙空間の合体

現在、銀河は、最後の世代のインフレーションで作られた複数の宇宙空間が膨張し衝突し合体した、いわゆる、宇宙の大規模構造の壁の部分にまとまって存在している。そして、その中で比較的近い距離にあるものは、宇宙が膨張しているにもかかわらず、互いの引力でまとまり銀河群や銀河団などを形成している。これらの、集まりに属する銀河は互いに引力で引き合っているため、天の川銀河とアンドロメダ銀河のように近い距離にある銀河同士は、互いの引力で引き合い近づき衝突し、合体して一つにまとまる。一つにまとまった銀河は、次にまた、別の近くの銀河と引力で引き合い近づき衝突し、合体をする。このように、近くの銀河同士の合体を近い物同士から順番に長い年月をかけて繰り返し行い、最終的には銀河群や銀河団はそれぞれ一つの銀河へとまとまる。しかし、銀河群や銀河団が一つにまとまってできた銀河同士は、遠くに離れ、互いの引力よりも宇宙の膨張の力が大きく、遠ざかっていくため、新たに合体することはできない。そのため、そのままの状態では、いずれ銀河の合体は終わってしまう。

しかし、宇宙空間の膨張が更に進むと、周囲に存在する同世代のインフレーションでできた複数の宇宙空間が衝突して合体し、互いの壁の部分を共有し合う、より大きな泡状の構造をした宇宙空間を作る。すると、それまで急激に加速膨張していた同世代のインフレーションでできた個々の宇宙空間は、急激にその膨張速度を減速しやがて膨張を止める。しかし、それぞれの壁の部分に存在する銀河は、宇宙空間の膨張が止まった後も慣性により宇宙空間の外へと動き続ける。そのため、合体前は別々の宇宙空間に存在し互いになんの影響も与えていなかった銀河同士が近づき合い、やがて互いに引力で引きあうようになり新たな銀河の集まりを形成する。もちろん、この同世代のインフレーションで作られた宇宙空間の合体で新たに作られた、より大きな泡状の宇宙の大規模構造は、全て一世代前のインフレーションで作られた球型の宇宙空間の膜の部分に存在するので、その後は、その宇宙空間の膨張の影響により膨張を続けることになるが、その膨張の力は新たにできた壁に存在する銀河同士の引力よりも弱い。そのため、再び近くの銀河同士から合体を始め、周囲に引力で引き合う銀河が存在する間は合体を繰り返す。

この、銀河同士の合体と同世代のインフレーションで作られた宇宙空間同士の合体は、世代を順番にさかのぼり、最終的には第一世代のインフレーションでできた宇宙空間同士の合体まで繰り返される。すると、それまでの宇宙空間の合体と同じように、それまで急激に加速膨張していた第一世代のインフレーションでできた個々の宇宙空間は、急激にその膨張速度を減速しやがて膨張を止める。そして、今までの宇宙空間の合体とは違い、それより前の世代のインフレーションがないため、合体し一つになった宇宙空間は完全に膨張を止めることになる。すると、新たにできた泡状の超巨大な宇宙の大規模構造の壁の部分に存在する銀河同士は、互いの引力の影響しか受けないため、近くの銀河同士から順番に合体し続けることが可能になる。そのため、銀河の中心に存在する巨大質量ブラックホールの特異点である「エーテル塊」も合体し続け、やがて超巨大な「エーテル塊」を形成する。

宇宙の繰り返し

銀河と宇宙空間の合体により形成された超巨大な「エーテル塊」は、後期の前宇宙と同じ経過をたどり、最終的には宇宙空間の始まりとなる「超巨大エーテル塊」へと成長し、新たに、第一世代のインフレーションをおこし再び独立した宇宙空間を誕生させる。つまり、多数の「超巨大エーテル塊」がほぼ同時期に第一世代のインフレーションを起こしそれぞれが独立した宇宙空間を形成することにより始まった宇宙は、最終的に、再び「超巨大エーテル塊」を多数形成し、それが新たな第一世代のインフレーションを起こし新たな宇宙空間を誕生させ成長させるというサイクルを繰り返すのである。宇宙は誕生し成長しやがて終焉を迎えるものではなく、「エーテル」の集合と発散を繰り返し存在し続けるものなのである。

4.結論

「エーテル」の存在を前提にして宇宙の成り立ちと未来について詳細に検討した結果、宇宙が一定のサイクルで変化を繰り返していること、宇宙の大規模構造や銀河の中心に銀河の質量に比例した大きさの巨大ブラックホールが存在する理由、ダークマターやダークエネルギーの正体など様々なことが判明した。以下、判明した内容の結論のみを改めて列記する。

@ 宇宙は、前宇宙において非常に長い期間をかけて多数形成された「超巨大エーテル塊」が、ほぼ同時期にインフレーション(第一世代)をおこし、それぞれが独立した「エーテル」の泡状の宇宙空間を作ることにより始まった。

A 第一世代のインフレーションで作られた「エーテル」の泡状の宇宙空間では、泡状の膜の部分で新たに多数の「巨大エーテル塊」が形成され、それらがほぼ同時期に第二世代のインフレーションを起こし、第一世代のインフレーションで作られた宇宙空間と同じ様に、独立した「エーテル」の泡状の宇宙空間を多数作った。

B 第二世代のインフレーションで作られた「エーテル」の泡状の宇宙空間でも、泡状の膜の部分で新たに多数の「エーテル塊」が形成される。この時、空間の「エーテル圧」が十分に高い場合、「エーテル塊」は急激に大きくなり「巨大エーテル塊」へと成長し、それぞれがほぼ同時期に第三世代のインフレーションをおこし、独立した「エーテル」の泡状の宇宙空間を多数作る。そして、以後空間の「エーテル圧」が十分に高い間は同様に、インフレーションで新たに作られる「エーテル」の泡状の宇宙空間の膜の部分で多数の「巨大エーテル塊」が形成され、それぞれが新たなインフレーションをおこし、連鎖的に独立した「エーテル」の泡状の宇宙空間を作り続ける。

C 新たに作られた宇宙空間の「エーテル圧」が十分に高くない場合、泡状の膜の部分で形成される「エーテル塊」が「巨大エーテル塊」へと成長する前に周囲に多数の素粒子が形成され、それが高速で激しく動きまわるため、宇宙空間は高温高圧となり、いわゆるビッグバンの状態に移行しインフレーションは終了する。しかし、その後も「エーテル塊」は宇宙空間に存在し続け、「エーテル塊」へと向かう「エーテル」の流れも継続する。

D 空間に存在し続ける「エーテル塊」には、「エーテル塊」へと向かう「エーテル」の流れにより「エーテル」とともに物質も集まり、「エーテル塊」の表面は物質で覆われ巨大化し、やがて集まった物質が自らの重力で押しつぶされ超大質量ブラックホールへと変化する。超大質量ブラックホールの周囲では、ブラックホール自身の引力とブラックホールの特異点(中心に存在する「エーテル塊」)へと向かう「エーテル」の流れにより物質が引き寄せられ物質濃度が高くなり、多くの天体が誕生する。誕生した天体も物質と同様に、ブラックホールの引力と「エーテル」の流れにより超大質量ブラックホールの周囲に集められ銀河を形成する。この時、中心にできる「エーテル塊」の大きさと周囲に集まる物質の量はともに中心へと向かう「エーテル」の流れの大きさにより決定される。そのため、銀河の中心にある超大質量ブラックホールの大きさとその周囲の銀河の大きさは比例する。

E ダークマターとは質量(すなわち引力)をもった未知の物質ではなく、インフレーションで引き起こされた特定の方向に向かう「エーテル」の流れであり、物質が「エーテル」によって流され、あたかも流れの先に引力を持った物質が存在するかのように見える物理現象である。この、特定の方向へ向かう「エーテル」の流れは大きく三つある。一番大きな流れは、最後の一つ前の世代のインフレーションで引き起こされた流れで、宇宙空間の外へと向かい放射状に広がっていき宇宙を膨張させている。二番目に大きな流れは、最後のインフレーションで引き起こされた流れで、最後の世代の宇宙空間同士の合体により、現在は宇宙の泡構造の空洞部分から壁の内部へと向かう流れとなり、この流れにより泡構造の壁の部分に銀河や物質が集められるため、宇宙空間の膨張に打ち勝ち銀河群や銀河団が形成されている。三番目の流れは、最後の世代のインフレーションで作られた「エーテルの泡」の膜の部分に存在する大小様々な「エーテルの乱気流」であり、中心にはインフレーションを起こせるまでに成長できなかった「エーテル塊」が存在し、そこに「エーテル」の流れにより物質が集められ、ブラックホールを形成すると同時に、その周囲に多数の星を誕生させ銀河を形成している。

F 宇宙空間の膨張速度は宇宙空間内部の「エーテル圧」と宇宙空間外部の「エーテル圧」の差により決定される。現在我々が宇宙の膨張速度を加速するためのエネルギーと考えるダークエネルギーとは、宇宙空間内部の「エーテル圧」が宇宙空間外部の「エーテル圧」よりも大きくなった状態の宇宙空間内外の「エーテル圧」の差であり、今後もしばらくは、宇宙空間の膨張により引き起こされる宇宙空間内部の「エーテル圧」の減少よりも宇宙空間外部の「エーテル圧」の減少が速く進むため、宇宙空間の膨張に従って増加する。

G 膨張し続ける宇宙空間はやがて周囲に多数存在する同世代のインフレーションで形成された同世代の宇宙空間と合体する。この同世代の宇宙空間の合体は最後の世代の宇宙空間の合体から順番に世代をさかのぼり、最終的には第一世代のインフレーションで形成された宇宙空間同士が合体し、宇宙空間は一つになり膨張を停止する。

H 合体し一つの宇宙空間になり膨張を停止した宇宙では、銀河同士は互いの引力の影響しか受けないため、近くの銀河同士から順番に合体し続けることが可能になる。そのため、銀河の中心に存在する巨大質量ブラックホールの特異点である「エーテル塊」も合体し続け、やがて超巨大な「エーテル塊」を形成する。この超巨大な「エーテル塊」は、後期の前宇宙と同じ経過をたどり、最終的には宇宙空間の始まりとなる「超巨大エーテル塊」へと成長し、新たに、第一世代のインフレーションをおこし再び独立した宇宙空間を誕生させ新たな宇宙を開始する。宇宙は誕生し成長しやがて終焉を迎えるものではなく、「エーテル」の集合と発散というサイクルを繰り返し存在し続ける。

考察

なぜ連続してインフレーションが起こるのか

「エーテル」の存在を前提にして宇宙の成り立ちと未来について考察した結果、宇宙は巨大な「エーテル塊」から始まったインフレーションが次のインフレーションのもとになる「エーテル塊」を複数形成し、その「エーテル塊」がそれぞれ次のインフレーションを起こし更に次のインフレーションのもととなる「エーテル塊」を複数形成することにより連鎖的にインフレーションが引き起こされ現在の宇宙が形作られたことが判明した。しかし、このように第二世代以降のインフレーションが連鎖的に複数の場所で連続して起こるためには、第二世代以降のインフレーションは第一世代のインフレーションを起こした「エーテル塊」に比べ、極端に小さな段階でインフレーションを起こさなければならない。なぜ、同じ「エーテル塊」なのにインフレーションをおこす時期が極端に違うのかについて考察する。

第一世代のインフレーションを起こす「エーテル塊」とそれ以降のインフレーションを起こす「エーテル塊」の違い

第一世代のインフレーションを起こす「エーテル塊」とそれ以降のインフレーションを起こす「エーテル塊」の一番大きな違いは誕生の仕方にある。第一世代のインフレーションをおこす「超巨大エーテル塊」はブラックホールが合体を繰り返しその特異点である「エーテル塊」が合体し巨大化することにより形成される。一方、第二世代以降のインフレーションをおこす「エーテル塊」はインフレーションにより生じた「エーテルの乱気流」の中心に「エーテル」が直接集まり形成され急激に大きくなったものである。つまり、第二世代以降のインフレーションを起こす「エーテル塊」は単純に「エーテル」が周囲から一か所に集まり塊を作り成長した「エーテル」のみで構成されたものであるのに対し、第一世代のインフレーションを起こす「エーテル塊」はブラックホールの特異点としての「エーテル塊」がブラックホールの成長と共に成長するもので、「エーテル塊」の周囲に物質の層を持ち、その成長も主に物質がブラックホールに引力で引き寄せられることによりもたらされる。

第一世代のインフレーションを起こす「エーテル塊」が「超巨大エーテル塊」へと成長する理由

第二世代以降の「エーテル塊」は「エーテル」が隙間なく集まりできているため、「エーテル塊」を構成する「エーテル」の数が直接「エーテル塊」の体積と表面積を決定する。しかし、第一世代のインフレーションを起こす「エーテル塊」では「エーテル塊」の周囲に物質の層を持っており、それがあたかも、「エーテル塊」の発散を押さえる殻の役割をするため、中心の「エーテル塊」を構成する「エーテル」の数が周囲の殻も含めた「エーテル塊」の表面積を決定することはない。

物質を構成する原子は原子核と電子から出来ている。このうち、原子の質量のほぼ100%を占める原子核の大きさは原子の直径のおよそ1万分の1から10万分の1であると言われている。これをわかりやすい数字に置き換えると、直径2センチの一円玉を原子核だとすると原子の直径は200メートルから2キロメートルになる。これは、非常に密度の低い、感覚的にはほとんど何もない空間と言うことのできる構造である。そのうえ、原子核は最終的には素粒子であるクォークが3つずつ集まり作られている陽子と中性子から作られており、素粒子は「エーテル」が集合と発散を繰り返し波の状態と粒子の状態を非常に短い間隔で繰り返しながら存在している。そのため、原子核自身もかなり隙間のある構造をしていると考えられる。また、中心の「エーテル塊」を覆う物質の層では、堆積した物質の重みで一番下の層に存在する物質が崩壊し、ブラックホールの特異点になるために十分な量が存在しなくてはならないため、非常に大量の物質が堆積しておりその厚みも非常に厚くなっている。

以上のことより、第一世代のインフレーションを起こす「エーテル塊」では、中心に存在する「エーテル塊」を覆う殻である物質の層を含めた表面積は、単純に「エーテル」が集まり形成されている「エーテル塊」に比べ非常に大きなものになっている。そのため周囲の「エーテル圧」が同じ場合は、中心に存在する「エーテル塊」の大きさが同じであっても、周囲から中心の「エーテル塊」にかかる圧力は単純な「エーテル塊」に比べ非常に大きくなる。また、第一世代のインフレーションを起こす「エーテル塊」では、周囲に堆積している物質は引力を持ち互いに引き付け合っていると同時に、下層に行くにしたがい強い圧力により核融合を起こし全て鉄族に変化し一つに融合する。そして、まさしく鉄の殻となり、「エーテル」が弾性の力により内部から外に広がろうとするのを抑える働きをしている。さらに、周囲から「エーテル塊」に加えられ「エーテル」が外部に広がるのを妨げている圧力も、単に中心の「エーテル塊」に「エーテル」がぶつかり圧力を加えているだけでなく、引力で引き寄せられた物質が周囲の鉄の殻にぶつかり圧力を加えているため、単純に「エーテル」がぶつかり与える圧力よりも格段に大きなものとなっている。このため、中心の「エーテル塊」は単純に「エーテル」が集まり「エーテル塊」を作った場合インフレーションを起こす大きさに成長したとしてもインフレーションを起こすことはできない。そして、周囲に存在する同じようにしてできたブラックホールと互いの引力で引き合い衝突し合体を繰り返すと共に自らも周囲の物質や「エーテル」を引き寄せ成長し、長い時間をかけて「超巨大エーテル塊」へと成長していく。

「超巨大エーテル塊」がインフレーションを起こす理由

鉄の殻を持った「エーテル塊」では、周囲の殻の部分に物質がぶつかり表面に堆積すると、物質の層の一番下にある鉄が上からの重みで押しつぶされ「エーテル」へと変化し、それがブラックホールの特異点である中心の「エーテル塊」に合体し、中心の「エーテル塊」は徐々に成長し大きくなっていく。一方、周囲の殻では、一番下の層で鉄が「エーテル」に変化するために必要な圧力は変化しないため、表面に物質が衝突し堆積し層の厚さが増加すると層の厚さが増えた分だけ一番下の層の鉄が重みで押しつぶされ「エーテル」へと変わる。そのため、殻の表面積は中心の「エーテル塊」が成長するにしたがい増加するが、厚さは変わらず一定の厚さを保つ。そのため、殻が内部の「エーテル」が弾性の力により広がろうとするのを押さえる強さは「エーテル塊」が成長し大きくなっても変化しない。また、殻の表面積が増加すると殻全体の物質の量が増加するため全体としての引力は強くなるが、殻の厚さは変化しないため単位面積当たりの空間に及ぼす引力の強さは変化しない。そのため、殻の表面積が増加しても表面にかかる物質や「エーテル」の圧力は変化せず、中心の「エーテル塊」が外部に広がるのを押さえる力は殻の表面積に単純に比例することになる。

鉄の殻を持った「エーテル塊」の「エーテル」の弾性による圧力は、「エーテル塊」内部の「エーテル」の数に比例し、その数は「エーテル塊」の体積に比例する。一方、上記のように、「エーテル塊」が外側から受ける圧力は殻の表面に当たる「エーテル」の数に比例し、その数は殻の表面積に比例する。「エーテル塊」は球形であるため、体積は半径の三乗に比例し、表面積は半径の二乗に比例する。そのため、「エーテル塊」が大きくなるにしたがい増加する「エーテル塊」にかかる圧力は、外からかかる圧力の増加よりも内部の圧力の増加の方が大きい。このため、「エーテル塊」が大きくなっていくと、ある時点で「エーテル塊」内部の圧力の方が外部からの圧力よりも大きくなり、内部から弾かれ「エーテル」が外に広がりインフレーションが始まる。以上が、鉄の殻を持った「超巨大エーテル塊」がインフレーションをおこす理由である。

インフレーションが起きた回数と我々が存在する宇宙空間の世代

本論文では、インフレーションにより誕生した宇宙空間はその後膨張を続け同世代の宇宙空間と合併するが、その宇宙空間同士の合併は、単純に、世代の若い順から世代をさかのぼり、最終的には第一世代のインフレーションでできた宇宙空間同士の合体まで繰り返されると考える。そのため、上記 2-2.ビッグバン後の宇宙 観測可能な宇宙 で述べたように、我々は一世代前のインフレーションで形作られた泡状の宇宙空間の膜の部分に、我々と同世代のインフレーションで形成された他の多くの、同世代でありかつ最後の世代である宇宙空間と一緒に存在し、その宇宙を観察しており、インフレーションは最低2回以上連続して起こったことが強く示唆されている。しかし、インフレーション中の宇宙では宇宙自体がまだ小さいために、インフレーションで誕生したばかりで急激に膨張している宇宙空間では、膜の部分に形成された「エーテル塊」が次の世代のインフレーションを起こす前に、隣にある、同じように誕生したばかりで急激に膨張している宇宙空間と合併し互いの膜の部分を共用した後に、共用する膜の中で「エーテル塊」が成長し次の世代のインフレーションを起こす場合もあると考えられる。この場合、今観測している泡状の宇宙の大規模構造が、最後の世代の宇宙空間だけが合併したものではなく、いろいろな世代の宇宙空間が合併したものである可能性が高くなり、同時に、現在我々の属している宇宙空間が最後の世代の宇宙空間であるとは断定できなくなる。また、インフレーションやそれにより誕生した宇宙空間を単純に世代として分けることも難しくなると考えられる。今後は、観測技術のさらなる向上を進めより精細な宇宙地図を作ると共に、コンピュータシミュレーションなど観測以外の手法も用い更なる検証を進める必要があると考える。

コンピュータシミュレーションの重要性

今後、新エーテル理論において「エーテル」の存在を前提として、宇宙の成り立ちや将来の姿を検証したり、引力や素粒子について検証する場合、コンピュータシミュレーションが非常に有力な手段になると考える。新エーテル理論で扱う「エーテル」は、現在素粒子と考えられている物質を構成する、真の素粒子と考えられる物質であり、現在の科学技術では見ることも触れることもできない。そのため、新エーテル理論で提唱されている理論を観察や観測、実験により直接検証することは不可能である。唯一、コンピューターによるシミュレーションにより「エーテル」がどのような動きをし、それがどのような働きを周囲に及ぼすかを調べ明らかにすることが新エーテル理論の検証につながる。そして、そのシミュレーションの過程で明らかにされたことを実際の世界で直接的、間接的に証明できれば、それにより新エーテル理論を証明することができると考える。また、その過程で、シミュレーションにより「エーテル」の動態を解明し予測できれば、今後、電磁気学や素粒子物理学を検討する場合の非常に大きな手助けになると考える。

新エーテル理論は、空間に「エーテル」が存在し、それが空気中に存在する気体分子のように、ランダムな方向にランダムな速度で運動し互いにぶつかり合っていることのみを前提とした理論である。そのため、コンピュータシミュレーションにおける初期条件は今までの宇宙のシミュレーションに比べ非常に簡単なものになると考えられる。はじめに存在する要素は「エーテル」だけで、初期条件として、「エーテル」の大きさ、存在する数(密度)、運動の速度と向き、反発係数の値と弾かれるまでの時間を設定すればシミュレーションを開始できる。場合によっては「エーテル」の形や種類(「エーテル」が一種類とは限らないため)、空間の大きさなども条件として必要になると考えられるが、それでも現在研究されている宇宙のシミュレーションに比較するとその初期条件は非常に簡単なものになる。しかし、初期条件は簡単でも、扱う「エーテル」の数が膨大であり、その運動速度も光速を超えるためコンピューターの処理能力は非常に高いものが必要になってくる。そのため、最初は素粒子レベルにおける「エーテル」の動態のシミュレーションを、初期条件を全体のスケールを変えつつ検証し、見込みのあるものについて徐々に取り扱う物質の大きさや空間の範囲を広げ、最終的に実際のスケールまで戻し、検証していく必要があると考える。

おわりに

インフレーションとビッグバン、宇宙の大規模構造や銀河の中心にある超大質量ブラックホール、ダークマターやダークエネルギーなど、宇宙には観測や研究によりその存在や構造、働きが確認されているにもかかわらず、その成り立ちや構造、存在する理由がわからない事象が多くあり、現在多くの科学者がその謎を解明するため研究を進めています。今回「エーテル」の存在を前提として宇宙について検討した結果、宇宙の始まりから将来の姿を含めほぼ全ての事象を理論的に解明することができました。私自身、「エーテル」の存在を認め「エーテル」の存在を前提とするだけで、こんなにも簡単に宇宙の誕生から成り立ち、成長と未来までが説明できてしまうことに非常に驚き、同時に「エーテル」の存在をより強く確信しました。

前報 「エーテル」の存在を前提とした万有引力についての考察 において、素粒子が集合と発散を繰り返しながら空間に安定して存在していることが導き出されました。そして、本論文において、宇宙空間が「エーテル」の集合と発散を繰り返し存在し続けることが導き出されました。つまり、宇宙で最も小さな構造物である素粒子も宇宙で最も大きな構造物である宇宙空間も、両方が全く同じ現象である、「エーテル」の集合と発散により成り立っていることが判明したのです。物理学の究極の目標は、素粒子などのミクロの世界から宇宙の大規模構造などのマクロの世界までの、宇宙のあらゆることをたった一つの理論で説明できる「超大統一理論」を作ることだと言います。新エーテル理論では今までに、光と時間と空間の性質、引力の発生機序とその性質、強い力と弱い力、重力質量と慣性質量とその等価原理の証明、慣性の法則の証明、物質とエネルギーの等価性とエネルギーの正体など様々な事象について、「エーテル」の存在を前提として検討してきました。その結果、それらの事象が全て、「エーテル」の動態により決定されることが判明しました。電磁気学の分野などまだ判明していない部分もありますが、私は、この世界の全ての物質の存在や現象は、全て「エーテル」が互いに影響を及ぼしながらどのように動き、集まり、離れ、流れていくかにより決定されるものであり、しかもその動きは全て、現在すでにわかっている、運動の法則により決定されていると考えます。私は、新エーテル理論は物理学が目指す究極の理論である「超大統一理論」になりうる理論だと考えます。この論文を読んでくださった皆様が、新エーテル理論に興味を持ち、検証に参加してくださることを強く願います。

論文は以上です

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論文4:「エーテル」の存在を前提とした宇宙の成り立ち


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初版:2017年5月26日、最終更新:2021年9月16日
エーテル宇宙論
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