新エーテル理論

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「エーテル」の存在を前提とした万有引力についての考察

論文の紹介

この論文のメインテーマは万有引力です。なぜ、すべての物質がその質量に比例した引力を発生し、引力の作用を受けるのかについて、「エーテル」の存在を前提とし考察し、引力の作用機序、発生機序を明らかにしました。自然界の4つの力(引力、電磁気力、強い力、弱い力)のうち、我々が常に感じ、影響を受けている一番身近な存在である引力は、実はそのメカニズムは分かっていません。引力がどのように作用するかは分かっていますが、なぜ作用するのかはいまだに分かっていないのです。私は、この論文は、引力の作用機序、発生機序を理論的に説明した初めての論文だと自負しています。

アインシュタインは引力は空間のゆがみにより発生すると考え、量子論は引力は重力子のキャッチボールであると考えます。空間のゆがみによる引力の発生は、ゴムシートの上に載せられたボールを例に説明されます。ゴムシートに重いボールを載せるとボールはゴムシートの中心で沈みボールの周囲にくぼみができます。そのくぼみの周囲にもう一つボールを載せると、二つ目のボールは中心のボールと引き合うように転がっていき、二つのボールはやがてくっつきます。引力により物体同士が引き合う力は、質量をもったボールにより引き起こされたゴムシートのゆがみと同じように、質量をもった物質により空間がゆがんだためにおこると説明されています。しかし、なぜ物質により空間がゆがむかについては理論的に説明されていません。結局、質量により空間がどのようにゆがみそれが物質間でどのように作用するかについては説明していますが、なぜ空間がゆがみ引力が発生するのかの根本的な説明はなされていないのです。また、量子論においては、重力子はいまだ発見されておらず、なぜ重力子が発生するのかの説明もなされていません。

私も初めは、なぜ「エーテル」が引力により引き付けられるのかの説明はせず、「エーテル」が引力(重力)により引き寄せられることを「エーテル」の基本性質の一つとし、引力の作用機序を説明しようと考えていました。具体的には、「エーテル」がいわゆる「綱」の役割をして物質同士が引き合うと考えていました。そして、引力が物質間の距離の2乗に反比例するのは、「エーテル」が物質を中心に引き寄せられるため「エーテル濃度」が物質からの距離の2乗に反比例することより説明できると考えていました。しかし、この考えは、論文中で述べたように、実際には成り立たないことが判明しました。そのため、考えを改め、一から引力について考察しなおしました。量子論によると、物質はすべて素粒子からできていることが分かっています。そのため、物質の引力は、その物質を構成する素粒子の引力(以後、素粒子引力と表記する)が源であると考え、物質の引力の発生機序、作用機序を考えるために素粒子引力について検討しました。その過程で、量子論の勉強をし、「エーテル」の存在を前提とし量子論を検討しなおしました。

量子論では素粒子は「波と粒子の二面性」を持ち、通常は波の状態で存在しており位置を確定することはできず、同時に複数の場所に存在できる(「状態の共存」)と考えられています。素粒子の波は「観測」されることにより初めて一点に収縮し、粒子としての素粒子が姿をあらわしその位置が確定されというのです。そのため、量子論では、素粒子の集まりであるマクロの物質も「波と粒子の二面性」を持ち「観測」していないときは波の状態で存在し、その位置を確定することはできないと主張しています。ミクロの物質である素粒子は実際に肉眼で見ることはできないので、量子論で主張されている通り、通常は波の状態で存在しており「観測」されて初めて粒子の状態になると考えることもできます。しかし、マクロの物質(良く月が例に出され、「月は私たちが見ているときは見ている場所に存在するが、見ていないときは波の状態で存在するためどこに存在するのか確定できない。」といわれています。)については、通常肉眼で見ることができるため、「観測」に関係なく存在が確定していると私には考えられ、量子論の考えに納得することはできませんでした。また、真空中で、素粒子である電子と陽電子が対で発生しすぐに消滅することが観測されていますが、量子論ではこれを、真空のエネルギーのゆらぎにより「無」から電子と陽電子が作られると考えます。量子論が正しいと考えていた時には、このことに対し疑問を持っていたわけではなく、ミクロの世界ではマクロの世界の常識では考えられないこともあるのだなと思っていました。しかし、量子論に間違いもあるかもしれないという、前提で考え直してみると、「無」から物質が作られることも到底納得できることではありませんでした。

そもそも、素粒子とは物質を構成する最小の単位であり、内部に構造をもたず、これ以上分解できないものです。そのため、素粒子は常に同じ構造をしており構造が変化することはあり得ません。それなのに、量子論において現在素粒子と考えられている物質は「波と粒子の二面性」を持ち、通常は波の状態で存在し、「観測」されて初めて粒子の状態になると考えられています。つまり、量子論で素粒子と考えられている物質は波と粒子の両方の構造を取るということであり、明らかに素粒子の定義に反しています。このため、私は現在素粒子と考えられている物質は真の素粒子(以下、真の素粒子を「素粒子」と表記する)ではなく、マクロの物質と同様、より小さな「素粒子」により構成されていると考えました。すると、素粒子が「観測」できる粒子の状態と「観測」できない波の状態の両方の構造を取ることは、マクロの物質が肉眼で見ることのできる固体や液体の状態と、肉眼で見ることのできない気体の状態を取ることと同じことであると考えることができます。また、「無」から素粒子が作られるということも、実際は我々が「無」と考えているものが「本当の無」ではなく、そこに我々が観測できない、「気体」の状態の「素粒子」が存在し、それが我々が観測できる粒子の状態の素粒子に相変化したためにおこると考えることができます。そして、この「素粒子」は、素粒子が存在する場所はもちろん真空中などすべての場所に存在するにもかかわらず、我々がその存在を感知することができないなど、我々が考える「エーテル」と同じ性質を持つことより、「エーテル」である可能性が非常に高いと考えました。

以上のことより、本論文では、量子論で我々が現在素粒子であると考えている物質が実は真の素粒子ではなく、より小さな構造物である「エーテル」により構成されていると仮定して論を進めていき、万有引力の発生機序、作用機序を根本から理論的に説明しました。そして、説明の過程で、「電子の二重スリット実験」の再検討も行い、実験の結果を否定することなく、素粒子の「波と粒子の二面性」や「状態の共存」について新たな解釈を提案しました。また、物質の質量と運動エネルギーなどに関しても考察をおこない、慣性質量と重力質量等価原理の証明や慣性の法則の作用機序、物質とエネルギーの正体について理論的に説明しました。

あまり論文の種明かしをしてしまっては、論文を読む楽しみがなくなってしまうので詳しくは説明せずこれくらいにしておきますが、考察の後半では、引力とは直接関係はありませんが、「エーテル」の存在を前提として「宇宙の成り立ち」「ダークエネルギー」、「自然界の四つの力(引力、電磁気力、強い力、弱い力)」についての検討も行いました。まだ未熟な理論ではありますが、「新エーテル理論」の可能性を皆さんに知っていただきたいと考えあえて発表しました。繰り返しになりますが、「エーテル」の存在を認め、それを前提とし現在の物理現象を検討しなおすことで新たに様々な理論を導き出すことができるのです。今までの理論で説明されてきた現象を別の理論で説明したり、今までの理論では説明が困難だったり、不可能だった現象を簡単に説明することもできます。一人でも多くのひとがこの論文を読み、新エーテル理論に興味を持ち検証に参加してくださることを強く願います。

2014年6月16日


ご意見、ご感想

ここから論文が始まります

要約

すべての物体は引力を持ち互いに引き付け合っているという万有引力の法則は、その働き方や力の強さの計算方法など物理的な法則は解明され、運動の3法則とともに広く利用されている。しかし、なぜ物質間に引力が存在し、何がその力を伝えているのかという根本的な問題はいまだ解明されていない。今回、「エーテル」が存在し引力により引き寄せられることを前提とし、万有引力(以下引力と表記する)について考察した。その結果、単にそれぞれの物質が「エーテル」を引力により引き寄せるため、「エーテル」がいわゆる「綱」の役割をして物質どうしが引き合うと考えたのでは、物質間に働く引力の強さが距離の2乗に反比例せず、万有引力の性質である逆2乗の法則に反してしまうことが判明した。そのため、引力の源である物質の性質をより詳しく考えるため、物質の最小単位と考えられている素粒子の性質について「エーテル」の存在を前提とし検討した。量子論では、素粒子は粒子と波の性質を併せ持ち位置を確定することはできないと考えられている。これは、素粒子がマクロの物質と同じような「気相」、「液相」、「固相」(以下、マクロの物質の三態と区別するため「」で囲んで表記する)の三態を持ち常に相変化を繰り返しているが、我々がその位置を特定できるのは「液相」、「固相」の場合のみであるためだと考えることができる。そこで、マクロの物質の分子に相当するものが素粒子においては「エーテル」であり、物質は「エーテル」が、我々が位置を特定できる「固相」や「液相」と、我々が位置を特定できない「気相」との間で相変化を非常に短い間隔で常に繰り返しているものと仮定し、そこに気圧の考え方と同様の「エーテル圧」の考え方を用い引力の発生機序を検討した。その結果、引力の発生機序やその性質を理論的に説明することができた。

はじめに

すべての物体は引力を持ち互いに引き付け合っているという万有引力の法則は、その働き方や力の強さの計算方法など物理的な法則は解明され、運動の3法則とともに物質や天体の運動の解析など様々な場面で利用されている。しかし、これらはあくまでも「法則(経験則)」であり理論的に導き出されたものではない。そのため、万有引力の法則では、なぜ物質間に引力が存在し、何がその力を伝えているのかという根本的な問題はいまだ解明されていない。今回、「エーテル」が存在し引力により引き寄せられるという性質が、物質間に引力が働く要因であると考え引力について考察した。その結果、単にそれぞれの物質が「エーテル」を引力により引き寄せるため、「エーテル」がいわゆる「綱」の役割をして物質どうしが引き合うと考えたのでは、物質間に働く引力の強さが距離の2乗に反比例せず、「2つの物体の間には、物体の質量に比例し、2物体間の距離の2乗に反比例する引力が作用する。」という万有引力の法則に反してしまうことがわかった。そのため、量子論の考え方を取り入れ、引力の源である物質の最小単位と考えられている素粒子の性質について、「エーテル」の存在を前提とし検討し、引力についてより詳しく考察しその性質、作用機序、発生機序を検討した。

量子論では、素粒子は粒子と波の性質を併せ持ち位置を確定することはできず、真空とはエネルギーが完全にゼロの状態ではなく、ごく短い時間で見た場合場所ごとのエネルギーは不確定でゆらいでおり、この真空のエネルギーのゆらぎにより素粒子がいろいろな場所で生まれては消えていると考える。そのため、素粒子である電子と陽電子が真空中で対生成することも、真空のエネルギーのゆらぎにより「無」から電子と陽電子が作られると考える。しかし、「エーテル」の存在を前提としこれを考えると、素粒子が粒子と波の性質を併せ持ち位置を確定することができないのは、素粒子がマクロの物質と同様にいわゆる「気相」、「液相」、「固相」の三態を持ち、非常に短い間隔で常に相変化を繰り返し、粒子から波、波から粒子へと状態を変化させ続けているが、我々が空気中の水蒸気の位置を特定できないことと同様に、素粒子の位置を特定できるのは「液相」、「固相」の場合のみであり、素粒子が「気相」の場合にはその存在を確認することはできないためであると考えることができる。すると、真空中に出現する電子と陽電子は「無」から作られるのではなく、「気相」の状態にありその存在を確認することができずにいた素粒子が、「液相」あるいは「固相」に相変化することにより素粒子として確認できるようになり、電子と陽電子として確認されたものであると説明できる。つまり、我々が素粒子として観察している物質は、マクロの物質がそれぞれの分子で構成されていることと同様に、さらに小さな「分子」で構成されていると考えることができる。本論文では、マクロの物質の分子に相当するものが素粒子においては「エーテル」であると仮定し、引力について改めて考察した。その結果、素粒子の「気相」から「液相」、「固相」への相変化にともなう「エーテル」の体積の急激な減少が、素粒子の周囲で「エーテル圧」の減少をひきおこし、それが「エーテル」を素粒子に引き寄せることが引力の発生の要因であることが判明した。以下その詳細を報告する。

万有引力と逆2乗の法則について

エーテル」の存在を前提とし、引力の発生・作用機序を考察するため、初めに、「エーテル」が存在し引力により引き寄せられることを前提とし、引力の根本的な性質である逆2乗の法則について改めて考察した。

@.万有引力とは

万有引力の法則とはイギリスの物理学者ニュートンが発見した法則で、「すべての物体は互いに引き合い、その力の大きさは引き合う物体の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例する。」というものである。この法則に、同じくニュートンが発見した運動の3法則、「すべての物体は、外部から力を加えられない限り、静止している物体は静止状態を続け、運動している物体は等速直線運動を続ける。」という運動の第1法則(慣性の法則)、「物体が力を受けると、その力の働く方向に加速度が生じる。加速度は力の大きさに比例し、慣性質量に反比例する。」という運動の第2法則(運動方程式)、「ある物体から別の物体に力を加えると、力を加えられた物体から力を加えた物体に、向きが反対で大きさが等しい力が加えられる。」という運動の第3法則(作用・反作用の法則)を合わせた4法則を利用することで力学全体を説明することができる。しかし、これらの法則はあくまでも「法則(経験則)」であり、理論的に求められたものではない。そのため、万有引力の法則では、なぜ物質間に引力が存在し、何がその力を伝えているのかという根本的な問題はいまだ解明されておらず、運動の3法則においても、3法則全てにおいてその理由は現在でもわかっていない。また、「運動方程式から求められる慣性質量と万有引力の法則から求められる重力質量が同一である。」という等価原理も、本当に正しいかどうか明らかになっていない。

A.逆2乗の法則とは

強さがその発生源からの距離の2乗に反比例するという法則を逆2乗の法則といい、この法則は、力を伝える一定の向きと大きさを持った物質(量子)が、その発生源を中心に放射状に空間に広がっていくと考えることにより説明できる。この法則に従うものとして、万有引力の法則のほかに、光の減衰の法則や荷電粒子間に働くクーロンの法則などが知られている。これらの法則のうち、光の減衰の法則は、光が人間にとって非常に重要で身近なものであり、我々が光を実際に見て感じることができ、人工的に発生させることもできることより、古くから詳しく研究され、現在ではその発生原理や伝わる速度など物理的な性質が仮説を含めてではあるがかなり解明されている。一方引力については、先に述べたように、なぜ存在し、何がどのように、どのような速度で空間を伝えているのかという根本的な問題はほとんど解明されていない。しかし、万有引力の法則も光の減衰の法則も、ともに逆2乗の法則により力を空間を通じ伝えていることより、これら二法則は同じような機構により力を伝えていると考えられる。そのため、引力がどのようにその力を空間を通じ伝えているのかを考える上で、まず光について考察し、それを元に引力がどのように力を空間を通じ伝えているのかを考えることにする。

B.光と逆2乗の法則について

光は波動と粒子の二面性を持つが、逆2乗の法則を考える場合、光をエネルギーを持った粒の集まりと考えると理解しやすい。そのため、ここでは光を一定のエネルギーを持った粒子である光量子の集まりとし検証を進める。光を光量子の集まりと考えると、光源の強さは単位時間に光源が発生する光量子の数に比例し、物質にあたる光の強さは一定の面積にぶつかる光量子の数に比例する。光源の強さが2倍になれば単位時間に出る光量子の数も2倍になり、単位面積にあたる光量子の数が2倍になれば光の強さも2倍になる。光は光源を中心に放射状に広がるため、光源を出た光量子も放射状に広がっていく。光速を一定と仮定すると、光源から同時に出て空間に放射状に広がっていく全ての光量子は、常に、光源からの距離が同じ場所である、光源からの距離を半径とした球面上に存在する。光源を同時に出た光量子の数は変化せず、光量子が存在する面積のみが増加していくため、単位面積に存在する(あたる)光量子の数は、光量子が存在する光源からの距離を半径とする球の表面積に反比例することになる。球の表面積は半径の2乗に比例して増加する。このため、単位面積にあたる光量子の数は光源からの距離の2乗に反比例し、光量子の数に比例する光の強さも光源からの距離の2乗に反比例するのである。つまり、光量子が光源から空間を放射状に広がり進んでいくので、光の減衰の法則は逆2乗の法則に従うのである。

C.光量子の性質について

次に、光の最小単位であり、光の強さを決定し光を遠方まで届ける光量子の性質について考察し、その性質を明らかにする。光量子の持つエネルギーについては、もし光量子の持つエネルギーが光源から出た後に変化すると、同時に光源を出て同一の球面上に存在する光量子の数が変化しなくとも、そこに存在する光量子全体が持つエネルギーが変化してしまい、光の強さが球の表面積に反比例しなくなってしまい、光の減衰の法則で逆2乗の法則が成り立たない。そのため、「光源から出た光量子はエネルギーの大きさを変化することなく、空間を無限方まで届く。」という性質が導き出される。また、光源から出る光量子の数が光源の強さの変化がないにもかかわらず時間により変化してしまうと、光源から同じ距離にある球面上に存在する光量子の数が時間により変化してしまい、光の強さも時間により変化し逆2乗の法則が成り立たない。そのため、「光源の強さが変化しない限り、光源の強さに比例した一定の数の光量子が光源から絶え間なく次々と放出されている。」という性質が導き出される。また、光源から放出された光は途中で遮断したり、レンズで集めたり、鏡で反射させその経路を変えても光源には何の影響もあたえず、反対に、光が光源から放出され空間を伝わっている間に光源を移動させたり、光源の強さを変化させても、すでに放出されている光は何の影響も受けない。このことより、光源から出た光量子は完全に光源から独立したものだと考えられる。もし光源から放出された光量子が光源の強さの変化の影響を受け、光源を出た後でその強さが変化してしまうと、先に述べた「光源から出た光量子はエネルギーの大きさを変化することなく、空間を無限方まで届く。」という性質が成り立たなくなり逆2乗の法則が成り立たない。このことより、「光源から出た光量子は完全に光源から独立し、光源の状態の影響を受けないし、光源に影響を与えることもない。」という性質も導き出される。

D.引力と引力量子について

先に述べたように、引力も光と同じく逆2乗の法則に従うのであるから、引力も光と同様の機構により働くと考えることができる。すると、引力にも光の光量子と同じように、引力の最小単位であり引力を伝える物質(量子)である引力量子(光量子になぞらえ引力量子と名づけた)が存在し、「引力は引力量子の集まりであり、物質の引力の強さは単位時間に物質が発生する引力量子の数に比例し、物質に働く引力の強さはその物質に働く引力量子の数により決まる。」(引力の性質1:引力量子仮説)と考えることができる。そして、この引力量子が引力源を中心に放射状に広がるため、「引力の強さは引力源からの距離の2乗に反比例する。」(引力の性質2:引力逆2乗の法則)と考えられる。

引力量子は、引力が逆2乗の法則に従うことより、光量子と同様の性質、「引力源から出た引力量子はエネルギーの大きさを変化することなく、空間を無限方まで届く」(引力量子の性質1:エネルギー不変仮説)、「引力源の強さが変化しない限り、引力源の強さに比例した一定の数の引力量子が引力源から絶え間なく次々と放出されている」(引力量子の性質2:比例仮説)、「引力量子は完全に引力源から独立し引力源の状態の影響を受けないし、引力源に影響を与えることもない」(引力量子の性質3:独立仮説)の3つの性質を持つことになる。

本論文ではまず、これら5つの条件と引力が「エーテル」を引き寄せることを合わせた6つの条件を前提に、引力がどのように働き物質を引き寄せるのかを考察していき、その考察の結果をもとに、なぜ引力が「エーテル」を引き寄せるのかについて考察し、引力の発生・作用機序を解明していく。

「エーテル」の存在を前提とした引力の作用機序

引力の発生機序を考察する前に、引力がどのように物質に働き物質を引き寄せているのかを「エーテル」の存在を前提にさらに詳しく検証する。

@.引力の作用機序について

まず、引力の働く機構を単純に物質同士が「エーテル」を引き合うことにより「エーテル」が「綱」の役割をして物質同士が引き合うとすると、物質間に働く引力は物質間に存在する全ての「エーテル」に働く引力の総和となり逆2乗の法則が成り立たない。また、物質同士がお互いに「エーテル」を引き合うことで互いに力を及ぼしあうためには、「エーテル」に力を及ぼしている引力量子が「エーテル」を引っ張るとともに発生源である物質にも引っ張る力を及ぼしている必要がある。しかし、これは、引力量子の性質3:独立仮説に反することになる。このことより、「エーテル」が単純に物質間の引力の「綱」の役割をすることにより物質間に引力が働くという仮説は否定される。つまり、物質間に働く引力は、物質同士が直接「エーテル」を引き合うのではなく、引力源からでた引力量子が物質に到達し物質に直接働き、引力量子が発生した方向に引き寄せることにより生じるのである。

次に、引力の働く機構を単純に光と同じだと仮定してみる。すると、先に述べたように、引力も光も逆2乗の法則に従うことより、物質に働く引力の強さは単位面積に働く引力量子の数と引力量子が作用する面積に比例することになる。ただし引力は光と違い、引力源と引力が作用する物質の間に別の物質が障害物として存在しても、引力源から出た引力の強さは影響を受けずターゲットとなる物質に力を及ぼす。このことより、引力は物質の表面だけに働くのではなく、物質全体に力を及ぼすと考えるべきであり、引力の強さは物質の表面積ではなく体積に比例すると考えられる。つまり、物質の体積が同じならばそこに働く引力量子の数が2倍になれば引力の強さも2倍になり、空間の単位体積に存在する引力量子の数が同じならば物質の体積が2倍になれば引力も2倍になると考えられる。しかし、引力は物質の面積や体積に比例するものではなくあくまでも物質の質量に比例するものである。地球上で引力の強さが同じ場所で物質の重さを量った場合、同じ物質であれば色々な形をとり表面積が変化しても体積は変化せず、重さも変化しない。しかし、比重の異なる物質どうしを比較した場合は体積が同じでも重さは同じにならない。このことより、引力は引力源から出た引力量子が物質に直接作用し引力量子の来た方向に引き寄せることで生じるのであるが、単純に物質全体に作用するものではなく、物質が持つ、質量に比例する体積を持つ特別な部分に作用すると考えられる。

A.物質の質量について

物質は全て原子から構成されており、その質量は物質に含まれる原子の数により決まる。原子は原子核中の陽子と中性子と、原子核の周りに存在する電子により構成されている。つまり、全ての物質は陽子と中性子と電子からなり、その質量は物質に含まれる陽子、中性子、電子の質量の総和である。そのため、引力は物質全体に引力量子が作用するのではなく、引力量子が物質中の陽子、中性子、原子に直接作用しその質量に比例した力を及ぼすと考えられる。一方、引力の作用機序より、引力は物質が持つ、質量に比例した体積を持つ特別な部分に直接作用し、その体積に比例した引力を生じることがわかっている。このことより陽子、中性子、電子においても、引力量子は、陽子、中性子、電子の質量に比例した体積を持つ特殊な領域に作用し、その領域の体積に比例した大きさの引力を作用することになる。しかし、引力量子が作用する特殊な領域が、陽子、中性子、電子の全体なのか一部分なのかを決定することはできない。そのため、以後、陽子、中性子、電子が持つ、引力量子が作用する特殊な領域の体積を「体積」と表記し考察を進めていく。すると、単純に、陽子、中性子、電子は質量に比例した「体積」を持つということができる。量子論においては、素粒子などのミクロの物質は波の性質を持ち、空間に広がって存在しその居場所を特定することはできないと考えられている。そして、素粒子が集まって作られている物質も波の性質を持ち、同じように、空間に広がって存在していると考えられている。本論文では、この広がりが、陽子、中性子、電子の「体積」となんらかの関係があるのではないかと考える。以下、その検証のため「エーテル」の存在を前提とし、素粒子について検討する。

「エーテル」の存在を前提とした素粒子についての検討

量子論では、物質を構成する最小単位でありそれ以上分解できないものを素粒子と呼ぶ。物質はすべて素粒子の集まりであり、物質の質量はその物質を構成する素粒子の質量の総和となる。引力源である物質を構成する陽子、中性子、電子のうち、陽子と中性子はさらに小さなクォークを呼ばれる素粒子で構成されるが、電子はそれ自体が素粒子であり、人工的に発生させたり観測することが可能でその性質がよく研究されている。本論文では「エーテル」の存在を前提とし、具体的に電子について検討しそれをもとに素粒子の性質を考察していくことにする。

@.量子論における電子の性質について

「エーテル」の存在を前提に電子について検討する前に、現在量子論で考えられている電子の性質を再確認する。量子論では、素粒子である電子は、「電子の二重スリット実験」により、「波と粒子の二面性」を持つことが示されおり、電子は電子の波の範囲全体に同時に存在しており、位置を確定することはできないと考えられている。これは、電子が波打ちながら進んだり、多数の電子が集まって波になるのではなく、一つの電子が波の性質をもち、波として空間に広がって存在していることを意味している。粒子としての電子がどこに存在するのかは確率的にしか求められず、電子の波は観察されることにより一点に収縮し、粒子としての電子が姿をあらわしその位置が確定されるのである。また、真空中で、電子が陽電子と対で発生しすぐに消滅することが観察されている。量子論では、「真空」とは物質が何もなくエネルギーが完全にゼロの状態ではなく、ごく短い時間で見た場合、場所ごとのエネルギーは不確定でゆらいでおり、この真空のエネルギーのゆらぎにより素粒子がいろいろな場所で生まれては消えていると考える。このため、素粒子である電子と陽電子が真空中で対生成することも、真空のエネルギーのゆらぎにより「無」から電子と陽電子が作られると考えられている。

A.「エーテル」の存在を前提とした「量子論的真空」の再検討

素粒子は「波と粒子の二面性」を持つ。これは、素粒子が場合によりその構造を変化させることを意味する。構造を変化させるということは、素粒子はさらに小さな構想物により作られている可能性が高いことを意味する。真空中で「無」から電子と陽電子が対生成されることに注目し、「量子論的真空」について「エーテル」の存在を前提に再検討し、素粒子の構造についてその可能性を検討する。

量子論においては、真空中でエネルギーの揺らぎにより、「無」から電子と陽電子が作られると考えられているが、「無」から物質が作られると考えるよりも、我々が「無」と考えているものが実は「本当の無」ではなく、そこに我々が観察できない物質が存在しており、その物質により電子と陽電子が作られると考えた方がより自然で納得できる説明であると考える。マクロの物質は気相、液相、固相の三相を持つが、通常我々が目で見たり触れたりし観察できるのは、液相と固相の場合のみである。気相に変化すると見ることも触れることもできなくなり、あたかも消えて存在しないかのように感じられる。しかし、実際は自由に動き回る物質の分子として空間に広がって存在している。これをふまえ、素粒子と考えられている電子も、物質が分子で構成されているのと同様に、実はより小さな物質で構成されており、マクロの物質と同様に、いわゆる「気相」、「液相」、「固相」の三態を持ち、「固相」や「液相」と考えられる粒子から「気相」と考えられる波へと相互に状態を変化させていると考えてみる。すると、真空中に出現する電子と陽電子は「無」から作られるのではなく、「気相」の状態にありその存在を確認することができずにいた素粒子が、「液相」あるいは「固相」に相変化することにより素粒子として確認できるようになり、電子と陽電子として確認されたものであると説明できる。つまり、我々が素粒子として観察している物質は、マクロの物質がそれぞれの分子で構成されていることと同様に、さらに小さな「分子」で構成されていると考えることができる。そして、この「分子」は、素粒子が存在する場所はもちろん真空中にも存在することより、全ての空間に存在しているが我々がその存在を感知できないなど、我々が考える「エーテル」と同じ性質を持つ。このことより、この「分子」が「エーテル」である可能性は非常に高いと考えられる。そのため、本論文では、この「分子」が 「エーテル」であると仮定し論を進めていくことにする。

B.「エーテル」の存在を前提とした素粒子の「波と粒子の二面性」の再検討

量子論では、素粒子である電子は、通常は波として空間に幅を持って広がっておりその位置を確認することはできないが、電子の位置を確認しようと「観測」を行うと、電子の波が「収縮」し、収縮した位置に電子が発見されると考えられている。そして、このことより素粒子の集まりであるマクロの物質も、我々が「観測」していないときは波として空間に広がって存在し、位置を確定することはできないと考えられている。しかし、マクロの物質は電子とは違い、我々が「観測」を行わなくともその存在を目で見て確認することが可能であり、「観測」とは関係なく、常に同じ場所に物質(粒子)として存在しているかのように観察される。これは、素粒子は通常は波の状態であり「観測」した場合にだけ粒子となるという考えと矛盾する観察結果である。この矛盾を検証するため、素粒子の「波と粒子の二面性」について「エーテル」の存在を前提とし再検討する。

まず、マクロの物質について検討する。我々が点滅する光を見た場合、点滅の間隔が長い場合は光が点滅していると認識できるが、点滅の間隔が十分に短くなると光の点滅を認識できなくなり、実際には点滅している光を見ているのに光が常に点いているとしか認識できなくなる。マクロの物質についてはこれと同じことが起こっていると考えると、マクロの物質が常に物質(粒子)として存在していると観察されることが説明できる。マクロの物質は、実際には、見て触れることができる物質(粒子)の状態と見たり触れたりすることのできない波の状態とを交互に繰り返し取っているのだが、その変化の間隔が非常に短いため、我々は常に物質の状態を取っていると誤解して認識しているのである。一方、素粒子である電子は、我々が粒子となった電子を直接見て触れることができないため、実際には電子が波の状態であるか粒子の状態であるかを知ることはできない。現在、「電子の二重スリット実験」の結果から、素粒子である電子は「観測」されるまでは波の状態であると導き出され、広く信じられている。しかし、素粒子から作られているマクロの物質が非常に短い間隔で波と物質(粒子)の状態を交互に取っているのならば、素粒子である電子も同様に非常に短い間隔で波と粒子の状態を交互に取っているはずであり、上記の「電子の二重スリット実験」から導き出され、広く信じられている考えに反するものとなってしまう。以下、この点について検討していく。

C.「エーテル」の存在を前提とした「電子の二重スリット実験」の再検討

「電子の二重スリット実験」で一つずつ電子を発射すると、電子を発射するたびにスクリーンに電子の衝突した跡が記録される。電子を何度も発射し実験を続けると、少しずつ縞模様が見え始め、発射された電子の数が十分に多くなるとはっきりとした縞模様が現れる。現在、この縞模様は波の状態の電子が二つのスリットを通過したさいに二つの波に分かれ、それぞれが波としてスクリーンに向かい広がり、干渉し合ったためにできた干渉縞だと考えられている。一つの電子が二つの波になり干渉縞を作るためには、電子がスリットを通過する場合も通過後スクリーンに達するまでの間も波の状態である必要がある。このため、電子は発射された後波として存在し、スクリーンに達し「観測」され初めて粒子の状態になると考えられている。

これに対し、本論文では、素粒子である電子はマクロの物質と同様に、波と粒子の状態を非常に短い間隔で交互に繰り返し取っていると考える。すると、「電子の二重スリット実験」で電子がスリットを通過するときの状態として、大きく分けると、波として両方のスリットを通過する場合と、粒子として片方のスリットのみを通過する場合の二通りが考えられる。粒子として片方のスリットを通過した場合は、スリットを通過後そのままの方向で波と粒子の状態を繰り返しながらスクリーンに到達しあとを残すと単純に考えることができる。一方、波として両方のスリットを通過した場合については、通過後に粒子に戻った時に通過時の影響で進行方向が変化し、その後波と粒子の状態を繰り返しながら変化した方向に進みスクリーンに到達しあとを残すと考えることができる。そして、この時の進路の変化の方向は、それぞれのスリットを波がどのように通過したかにより決定されるが、波となった電子がどこに存在するかの確率が場所により違うため、波としてスリットを通過する時の状態もすべて同じ確率で起こるのではなく、より起こりやすい状態と起こりにくい状態ができる。そのため、進行方向が変化する方向もすべて同じ確率とはならず、電子がスクリーンに到達する場所も、より頻繁に到達する場所とあまり到達しない場所とができると考えることができる。そして、このように考えると、素粒子である電子が「観測」に関係なく非常に短い間隔で波と粒子の状態を繰り返し取っていると考えても、「電子の二重スリット実験」で電子を一つずつ発射した場合でも、発射された電子の数が十分に多くなるとスクリーンにはっきりとした縞模様ができることが説明できる。

以上のことより、本論文では、「素粒子はさらに小さな構造物で作られておりその構造物が「エーテル」である。」、「素粒子は粒子と波との状態を非常に短い間隔で繰り返している。」、「素粒子が波の状態である時は「エーテル」として空間に広がって存在している。」の三つを、「エーテル」の存在を前提とした場合の素粒子の性質であると仮定し、引力の発生機序や作用機序について考察していく。

「エーテル」の存在を前提とした素粒子引力についての考察

物質は全て素粒子で構成されている。そのため、物質の引力は、その物質を構成する素粒子の引力(以後、素粒子引力と表記する)が源であると考えられる。つまり、素粒子引力の発生・作用機序が引力の発生・作用機序であると考えられる。以下、「エーテル」の存在を前提とし、素粒子引力の発生・作用機序を考察していく。

@.「エーテル」の存在を前提とした素粒子引力の発生機序

本論文では、素粒子は「エーテル」により作られており、マクロの物質の液相、固相にあたる粒子の状態と、マクロの物質の気相にあたる波の状態を非常に短い間隔で交互に繰り返して取っていると考える。マクロの物質において、物質が気相から液相へ変化する場合体積が急激に減少する。これと同様に、素粒子も「気相」である波の状態から「液相」あるいは「固相」である粒子の状態へ変化すると、波として空間に広がっていた「エーテル」が粒子として一点に集まり収縮し、その体積が急激に減少する。その結果、素粒子の周囲で「エーテル圧」の減少が引き起こされ、粒子状の素粒子の周囲に「エーテル圧の低い部分」ができる。この、「エーテル圧の低い部分」に周囲の「エーテル」が流れ込むことが素粒子引力の発生要因であると考える。

素粒子が波の状態から粒子の状態に変化し体積が減少し、素粒子周囲に「エーテル圧の低い部分」ができると、そこに相対的に「エーテル圧」の高い周囲の部分から「エーテル」が流れ込む。すると、「エーテル圧の低い部分」の「エーテル圧」は高くなり、反対に、「エーテル」が流れ出していった相対的に「エーテル圧」の高かった部分の「エーテル圧」が低くなる。そのため、今度はより外側の部分の「エーテル圧」が相対的に高くなり、そこから、内側(素粒子側)の「エーテル圧」の低くなった部分に「エーテル」が流れ込む。すると、ここでも、「エーテル」が流れ出していった「エーテル圧」の高かった部分の「エーテル圧」が低くなり、そこに、さらに外側の相対的に「エーテル圧」の高い部分から「エーテル」が流れ込みその部分の「エーテル圧」が低くなる。これを繰り返すことにより、「エーテル」が流れ込む「エーテル圧の低い部分」が素粒子を中心とし周囲の空間を放射状に進んでいき、「エーテル」を素粒子へと引き寄せる。素粒子が「エーテル」を引き寄せると、引き寄せられた「エーテル」で作られている素粒子も引き寄せられ、結果的に、素粒子が素粒子を引き寄せることになる。これが素粒子間引力であり、以上が素粒子間引力の発生機序である。

本論文では、素粒子が波の状態から粒子の状態に変化したことによりできる「エーテル圧の低い部分」が引力量子であり、これが、素粒子を中心に放射状に空間を無限方まで強さを変化することなく伝わることにより引力を及ぼしていると考える。以下、引力量子であると考える「エーテル圧の低い部分」を「引力量子」と表記し、「引力量子」についてさらに詳しく検討していく。

A.「引力量子」の発生および伝達機序

まず、素粒子が波の状態から粒子へ変化した時に、その周囲に「引力量子」ができる機序について考察する。考察に当たり、球を平面である円としてあらわしたモデル図を使い説明していく。まず、素粒子が波の状態から粒子になった時の体積の急激な減少により素粒子粒子の周囲に球形の「エーテル圧」の低い部分ができる(図1)。すると、周囲の相対的に「エーテル圧」の高い部分からそこに「エーテル」が一斉に流れ込もうとする(図2)。

irk1.jpg 図1 irk2.jpg 図2

しかし、「エーテル圧」」の低い部分の体積は球形のため中心に行くほど小さくなる。そのため、周囲から流れ込む「エーテル」はぶつかり合う部分ができ、すべて同じ速度で中心に向かうことはできない(図3)。その結果、「エーテル圧」の低い部分の周囲に新たにできる「エーテル圧」の低い部分は周囲の空間全てに均一にできるのではなく、「エーテル圧」が低くなった部分と「エーテル圧」が低くならない部分ができる(図4)。この様にしてできた「エーテル圧の低い部分」一つ一つが「引力量子」である。以上が、「引力量子」の発生機序である。

irk3.jpg 図3 irk4.jpg 図4

次に、「引力量子」がその強さを変えることなく空間を無限方まで伝わる機序を考察する。考察に当たり、図4の「引力量子」の一つを拡大したモデル図を使い2次元的に説明していく。素粒子側の空間へ「エーテル」が流れ出したため発生した「引力量子」は、「エーテル圧」が周囲の空間より低いため素粒子側以外の周囲の空間から「エーテル」が流れ込もうとする。(図5)。「引力量子」に「エーテル」が流れ込むと、「エーテル」が流出した周囲の空間の「エーテル圧」が低下し「引力量子」の周囲に新たに「エーテル圧」の低い部分ができてくる(図6)。

irk5.jpg 図5 irk6.jpg 図6

「エーテル圧」の低い部分ができると、さらに外側の空間から「エーテル」が流入しようとする(図7)。外側の空間から「エーテル」が流入すると、「エーテル」が流出した周囲の空間に新たに「エーテル圧」の低い部分ができ始める(図8)。

irk7.jpg 図7 irk8.jpg 図8

しかし、素粒子側以外の空間では「エーテル」が流れ出ていく方向の反対方向からも「エーテル」が流れてくるため新たにできた「エーテル圧」の低い部分の「エーテル圧」は元に戻るとともに「エーテル」の流れも打ち消し合い停止する(図9)。その結果、素粒子側に向かう「エーテル」の流れだけが残り、元の「引力量子」の素粒子から見た外側にのみ元の「引力量子」と同じ大きさの新たな「引力量子」ができる(図10)。新たに発生した「引力量子」においても、「エーテル圧」が周囲の空間より低いため素粒子側以外の周囲の空間から「エーテル」が流入しようとする(図5に戻る)。

irk9.jpg 図9 irk10.jpg 図10

以下、同じ過程を繰り返すことにより、「引力量子」は、その強さを変化することなく空間を無限方まで伝わる。これが「引力量子」の伝達機序である。

B.「引力量子」の性質

先に明らかになった引力の性質より、「引力量子」が、引力の最小単位であり引力を伝える引力量子であるならば、「引力量子」は、発生源である素粒子の質量に比例した量が絶え間なく発生され続けるとともに、発生源である素粒子から完全に独立し、その強さを変化することなく、発生源の素粒子を中心とし空間を放射状に無限方まで伝わらなければならない。これらの性質のうち、「引力量子」が発生源である素粒子から完全に独立し、その強さを変化することなく、発生源の素粒子を中心とし空間を放射状に無限方まで伝わることは、「引力量子」の発生機序、伝達機序より明らかであり、絶え間なく発生され続けていることも、素粒子が粒子と波の状態を非常に短い間隔で交互に繰り返して取っていることより、必然的に導き出される。また、素粒子の質量(重力質量)に比例した「引力量子」が発生することについても、重力質量が物質の引力の大きさを決定するものとして定義されたものであるため、「引力量子」が引力量子であるならば当然成り立つものである。しかし、重力質量の発生原理が完全には解明されておらず、素粒子の重力質量を決定するものがなんであるかがわからないためそれを検証することはできない。そのため、「引力量子」が引力量子であると仮定し、「エーテル」の存在を前提とした重力質量について検討し、その発生原理や源など重力質量の定義を導き出し、それを現在までにわかっている重力質量の定義と比較検討し、重力質量がなぜ発生し何により決定されているのかを明らかにするとともに、「引力量子」が本当に引力量子であり、その発生が重力質量に比例するかどうかを検証する。

C.重力質量について

「すべての物体は互いに引き合い、その力の大きさは引き合う物体の質量(重力質量)の積に比例し、距離の2乗に反比例する。」という万有引力の法則より、重力質量について次の二つのことがわかる。一つは、物質が発生する引力の大きさはその物質の重力質量に比例するということであり、もう一つは、物質が重力質量に比例した大きさの引力受けるということである。これは、一見当たり前のように思えるが、引力の発生機序と作用機序は本来別のものであり、物質の重力質量が2倍になり発生する引力が2倍の大きさになったからと言って、物質の受ける引力が2倍になるとは限らない。具体的な例として光について考えてみる。いま、ある一定の強さの光を発生しているA,Bという投光器があり、互いに相手を照らしあっているとする。ここで、Aの投光器の光源の強さを2倍にする。すると、Aの投光器の発生する光の強さは2倍になるが浴びている光の強さは変化せず、Bの投光器は浴びる光の強さは2倍になるが発生する光の強さは変化しない。これは、光の発生機序と受光機序が互いに独立した別のものであることより当然である。これに対し、引力では発生する引力と作用を受ける引力の強さがともに重力質量に比例することより、発生機序と作用機序は独立した別のものではなく、共に重力質量に深く関係していることが強く示唆される。

D.「エーテル」の存在を前提とした重力質量の定義について

まず、重力質量と「引力量子」の発生量の関係について考察する。「引力量子」とは、素粒子が波の状態から粒子となった時の体積の急激な減少により生じる「エーテル圧」の減少により発生する。そのため、仮に空間に波(「気体」)の状態として自由に運動している1個の「エーテル」が粒子(「液相」または「固相」)となった場合の「エーテル圧」の減少を1とし、発生する「引力量子」の大きさは全て等しく周囲との「エーテル圧」の差を10とする。すると、100個の「エーテル」で構成され素粒子が波の状態から粒子の状態に変化した場合−10「エーテル圧」の大きさの10個の「引力量子」を発生することになり、200個の「エーテル」で構成された素粒子が波の状態から粒子の状態に変化した場合−10「エーテル圧」の大きさの20個の「引力量子」を発生することになる。つまり、素粒子から発生する「引力量子」の数は素粒子を構成している「エーテル」の数に比例することになる。一方重力質量の定義より、発生する引力量子の数は素粒子の重力質量に比例する。このため、「引力量子」が引力量子であるならば、素粒子が発生する引力量子の数は素粒子を構成している「エーテル」の数と重力質量の両方に比例するため、素粒子の重力質量は素粒子を構成している「エーテル」の数に比例することになる。つまり、引力の発生機序から考えた場合、「引力量子」が引力量子であるならば、「素粒子は構成している「エーテル」の量に比例した重力質量をもち、その重力質量に比例した引力量子を発生する。」と定義される。

次に、引力の作用機序から重力質量を考える。本論文において明らかになった引力の作用機序によると、物質は重力質量に比例した「体積」をもち、そこに引力量子が作用することにより引力を受ける。素粒子においては、波の状態で空間に広がって存在している「エーテル」が「引力量子」により引き寄せられることにより引力が働く。このため、素粒子に働く引力の強さは素粒子が波の状態で存在するときの体積に比例する。一方、重力質量の定義より、素粒子が受ける引力の強さは素粒子の重力質量に比例する。このため、「引力量子」が引力量子であるならば、素粒子が受ける引力の強さは素粒子が波の状態で存在するときの体積と重力質量の両方に比例するため、素粒子の重力質量は素粒子が波の状態で存在するときの体積に比例することになる。つまり、引力の作用機序から考えた場合、「引力量子」が引力量子であるならば、「素粒子は波の状態のとき重力質量に比例した体積をとり、その体積に比例した引力を受ける。」と定義される。

以上二つの重力質量の定義より、「素粒子の重力質量は、素粒子を構成する「エーテル」の量に比例し決定され、その重力質量に引力量子の発生量と波の状態時の素粒子の体積が比例する。」と定義される。この定義が成り立つためには、素粒子を構成する「エーテル」の量に引力量子の発生量と波の状態のときの素粒子の体積が比例しなければならなが、「エーテル」の量に引力量子の発生量が比例することは「引力量子」の発生機序より、「引力量子」が引力量子であるならば当然成り立つ。また、「エーテル」の量に波の状態のときの素粒子の体積が比例することについても、波の状態の素粒子では素粒子を構成している「エーテル」がマクロの物質でいう気体の状態であるため、マクロの物質の気体の性質と同じ性質を持つと考えられることより成り立つ。なぜならば、マクロの物質では、理想気体の状態方程式より気体の温度と圧力が同じであるならば、気体が占める体積は気体の物質量に比例することより、波として「気体」の状態で存在する「エーテル」も、周りの「エーテル圧」(エーテル濃度とエーテルの運動量により決定される)が変化しなければ、空間に占める体積は「エーテル」の量に比例するからである。

以上のことより、「引力量子」が引力量子あると仮定して導き出される素粒子の重力質量の定義に矛盾が生じることはなく、「引力量子」の発生量が素粒子の重力質量に比例することが証明された。そしてこれにより、「引力量子」は、発生源である素粒子の質量に比例した量が絶え間なく発生され続けるとともに、発生源である素粒子から完全に独立し、その強さを変化することなく、発生源の素粒子を中心とし空間を放射状に無限方まで伝わることがすべて証明され、素粒子が波の状態から粒子の状態に変化したことによりできる「エーテル圧の低い部分」が、引力の最小単位であり引力を伝える引力量子であることが証明された。

結論

本論文では、なぜ物質間に引力が存在し、何がその力を伝えているのかという根本的な問題を解明するため、「エーテル」の存在を前提とし、物質を構成する最小単位であり、物質の引力の源である素粒子について、引力の発生、伝達、作用機序について考察してきた。そして、その過程で、物質の引力、素粒子、素粒子の重力質量などについて検討し、それらについての新しい理論を導き出し証明してきた。その結果、素粒子引力について次のことが判明した。

@ 素粒子は「エーテル」により構成され、その重力質量は素粒子を構成する「エーテル」の量に比例し決定する。

A 素粒子は非常に短い間隔で波と粒子の間で相変化を繰り返しており、素粒子が波から粒子に相変化したときの体積の急激な減少により生じる素粒子周囲の「エーテル圧」の低下した部分に、周囲から「エーテル」が流れ込むことが素粒子引力の発生の根本的理由である。

B 素粒子周囲の「エーテル圧」の低下した部分に「エーテル」が流れ込むことにより、その外側に素粒子の重力質量に比例し発生する「エーテル圧の低い部分」が引力量子であり、これが素粒子を中心に放射状に空間を無限方まで強さを変化することなく伝わり、「エーテル」として空間に広がって存在している波の状態の素粒子に直接働きかけ引力を及ぼしている。

C 素粒子が重力質量に比例した引力を受けるのは、素粒子が波の状態のときに空間に「エーテル」として広がって存在する体積が重力質量に比例するためである。

D 素粒子の重力質量に引力量子の発生量と波の状態時の体積が比例するのは、引力量子の発生量と波の状態時の体積が共に素粒子を構成している「エーテル」の量に比例するためである。

考察

@.素粒子の波から粒子への相変化の機序

本論文では、素粒子は「エーテル」により作られており、非常に短い間隔で波と粒子の状態を交互に繰り返して取っていると考えるが、その理由や機序については検討していない。以下、そのことについて検討していく。

素粒子が粒子から波へと変化すると、素粒子を構成していた「エーテル」は周囲の空間に広がっていき周囲の「エーテル」と混ざり合う。この時「エーテル」は、マクロの物質の気体の分子が空間を自由に飛び回りぶつかり合い、運動の方向を変化させているのと同じように、空間を自由に動き回り、互いにぶつかり合い運動の方向を変化させていると考えられる。しかし、素粒子の周囲の「エーテル」は素粒子引力により素粒子を中心に集まってきているため、全体として素粒子に向かう流れをとっている。一方素粒子を構成していた「エーテル」は素粒子から周囲に向かう流れをとっている。素粒子周囲では「エーテル」の密度と運動の速度が非常に高くなっているため、向かい合う「エーテル」の流れ同士がぶつかり合うと、いわゆる乱気流が発生し、「エーテル」の流れにむらができ、「エーテル」が集中して集まる部分ができると考えられる。「エーテル」中に一か所、「エーテル」が集中し「エーテル」同士がぶつかり集まった「エーテル」の塊ができると、その瞬間、その周囲にある「エーテル」は「エーテル」の塊側から「エーテル」にぶつかられることがなくなり、「エーテル」の塊側からの圧力が全くなくなる。そのため、「エーテル」の塊の周囲にある「エーテル」は「エーテル」の塊に急速に集まり、最初の「エーテル」の塊を中心により大きな「エーテル」同士がぶつかり密着し合った塊を形成する。この塊が、素粒子が粒子状となったものであると考える。ぶつかり合った「エーテル」は一瞬の後、「エーテル」の弾性により互いにはじかれ再び周囲に広がっていく。これが素粒子の波の状態だと考える。周囲に広がっていく「エーテル」は、再び周囲から素粒子に向かってくる「エーテル」とぶつかり混ざり合い新たな乱気流を発生させる。このため、「エーテル」の流れに再びむらができ、新たに「エーテル」が集中して集まる部分ができそこを中心として再び「エーテル」の塊を形成する。この繰り返しにより、素粒子は非常に短い間隔で波と粒子の状態を交互に繰り返して取るのである。

以上、素粒子が波から粒子、粒子から波へと変化し続ける機序について検討したが、上記の機序に従うと、素粒子は単に「エーテル」が物理的に集まっただけのものになってしまい、質量や大きさに多少の違いはできるが基本的に全て同じ構造と性質を持つものとなってしまう。しかし、実際には様々な異なった性質を持つ素粒子が存在しており、上記の機序は現実と矛盾したものとなっている。しかし、「エーテル」が単一の物質で構成されているのではなく、大気が窒素、酸素、二酸化炭素、水蒸気など様々な物質で構成されているのと同様に複数の物質により構成されており、それに加えて、素粒子の持つスピンという性質が「エーテル」の流れる方向により決定されると考えると、素粒子はそれを構成する「エーテル」の種類とその組み合わせや流れる方向(スピンの向き)とその速度により様々な質量や性質を持つと考えることができる。近年、新しい素粒子と考えられた粒子が次々に発見されたのも、このためであると考えられる。また、素粒子と反素粒子の関係は、同じ構成を持った素粒子の「エーテル」の流れる方向(スピンの向き)が逆の物同士であると考える。すると、素粒子と反素粒子がぶつかり合った時に対消滅するのは、スピンの向きが反対同士の素粒子が衝突すると、衝突面では「エーテル」の流れる方向が同じため「エーテル」同士が互いに衝突して速度を落とすことがなく、「エーテル」の流れる速度が衝突面以外の「エーテル」の流れよりも早くなり、その結果、周囲の衝突面以外の部分よりも「エーテル圧」が低くなり周囲より押されて合体し、「エーテル」が一つの流れになり渦を巻かなくなるためだと考えることができる。また、反対に、高いエネルギーを持った光子が原子核などに衝突したときに素粒子と反素粒子が対生成されるのも、カルマン渦の発生と同じメカニズムにより、「エーテル」の流れる向きが反対の二つの渦ができるためだと考えられる。また、検討の過程で、「エーテル」の流れにむらができそこに最初の「エーテル」の塊ができることが示されたが、どこに「エーテル」の塊ができるかはさまざまな条件で決まってくるものであり、確率的にしか予測できないと考えられる。そのため、粒子としての素粒子がどこに存在するのかが確率的にしかわからないのであると考えられる。

A.慣性質量と等価原理について

物質の質量には、引力の大きさを決定する重力質量と、物質の動かしにくさや止めにくさである慣性を決定する慣性質量の二つがある。両者は力学的には全く別の定義であるが、実験により同一の値を取ることが高い精度で示されており、この経験則を等価原理という。しかし、なぜ重力質量と慣性質量が同じ値を取るのかという理由は、現在でもわかっていない。本論文では、先に、「エーテル」の存在を前提として素粒子の重力質量について検討した。その結果、素粒子が波の状態の時に「エーテル」として空間に存在する場合の体積が重力質量に比例することが示された。これを、物質の慣性の点からみると、同じ「エーテル圧」の「エーテル」の中を移動するのであれば、素粒子の体積が2倍になれば、2倍の抵抗を受けるのは当然であり、「エーテル」中の素粒子の動きにくさは、素粒子が波の状態の時に空間に占める体積に比例すると考えられる。そして、この体積が重力質量に比例するのであるから、空間に存在する「エーテル」中での素粒子の動きにくさは、重力質量に比例することになる。一方、慣性質量の定義より、素粒子の動きにくさを決定する質量が慣性質量であるので、結果的に慣性質量と重力質量は互いに比例することになり、このことより、重力質量と慣性質量が等価であるという等価原理が成り立つことが導き出される。

上記、慣性質量の発生機序を、素粒子が波の状態の時に「エーテル」を移動するときに「エーテル」から受ける抵抗であるとしたが、その場合、素粒子が「エーテル」中を移動し続ける限り「エーテル」から抵抗を受けることになってしまう。すると、素粒子を移動させ続けるためには素粒子に力をかけ続けなければならないことになり、素粒子でできているマクロの物質も同様に空間を移動させるためには力を加え続けなければならないことになる。しかしこれは、「すべての物体は、外部から力を加えられない限り、静止している物体は静止状態を続け、運動している物体は等速直線運動を続ける。」という運動の第1法則(慣性の法則)に反することになる。以下この点について、検討する。

B.慣性の法則について

素粒子が慣性質量を持ち、「エーテル」中で加速度運動する時に「エーテル」から抵抗を受けるが、等速直線運動をしている場合は慣性の法則に従い、「エーテル」から何の抵抗も受けず等速直線運動を続けるということは、素粒子が粒子と波の状態との間で相変化を繰り返す過程で「エーテル」の流れに応じてその状態を変化させているためだと考えられる。静止状態での素粒子の波から粒子への相変化の機序は上記明らかになっている。その機序を踏まえ、移動している素粒子での波から粒子への相変化の機序を検討し、慣性の法則の作用機序を明らかにし、慣性質量と慣性の法則が同時に成り立つ機序を明らかにしていく。

静止した素粒子の周囲の「エーテル」は、素粒子の粒子と波の状態の相変化の繰り返しや素粒子引力による影響で互いにぶつかり合い、いわゆる乱気流を起こしている。しかし、素粒子が一定の範囲内で粒子と波の状態を繰り返しながら存在していることより、この「エーテル」の流れは、一定の範囲内で安定した流れとなっており、全体としてみると変化のないものとなっていると考えられる。一方、素粒子が「エーテル」中を移動し始め加速度運動をすると、いわゆる「エーテル」の向かい風を受けることになり、素粒子は「エーテル」の抵抗を受け、現在の場所にとどまろうとする力を受ける。この時、素粒子周囲の「エーテル」の流れは、素粒子の移動速度が増加するため変化し続けている。次に、素粒子が等速直線運動に移ると、「エーテル」の向かい風は存在するがその速度は一定のものとなる。そのため、素粒子周囲の「エーテル」の流れは、静止していた時とは異なってはいるが、全体としては素粒子が静止していた時と同じように一定の範囲内で安定した流れとなり変化のないものとなる。その、流れの変化のない「エーテル」の中で、素粒子が粒子と波の状態との相変化を繰り返すことになるのだから、そこに存在する素粒子にとっては「エーテル」の向かい風は存在しないことになり、観察者から見て移動している状態がその素粒子にとっては安定した状態となる。そのため、再び力を加えられて加速度運動に移る時はもちろん、反対の力を受け減速する時にも、「エーテル」の抵抗を受けることになる。そのため、外部から力を加えられないかぎり静止している素粒子は静止状態を続け、運動している素粒子は等速直線運動を続けることになる。以上が、素粒子においての慣性の法則の作用機序であるが、素粒子が加速度運動をしているときは「エーテル」の抵抗を受け、等速直線運動をしている場合は「エーテル」の抵抗を受けないことより、慣性質量とも矛盾せず同時に成り立つことは明らかである。

C.物質とエネルギーについて

素粒子における慣性の法則の作用機序によると、素粒子周囲の「エーテル」の流れは素粒子の運動により変化を受け、素粒子の運動は素粒子周囲の「エーテル」の流れにより決定される。つまり、素粒子は素粒子周囲の「エーテル」の流れにより運動の状態が即時記録保存され、その記録に基づき運動し続けるのである。そして、この「エーテル」の流れの速度が物質の運動量が増加すると増加することより、物質の運動の方向は「エーテル」の流れ方により記録保存され、運動の速度は「エーテル」の流れる速度、すなわち、「エーテル」の運動速度に記録保存されると考えられる。すると、物質の運動エネルギーは物質の質量と速度により決定されるが、速度は「エーテル」の運動速度により決定されることになり、運動している物質の運動エネルギーは「エーテル」の運動速度に記録保存されることになる。これは、エネルギーの大きさは「エーテル」の運動量に記録保存されることを意味する。物質の源である素粒子は「エーテル」で構成され、その質量は素粒子を構成する「エーテル」の量により決定される。そして、エネルギーは「エーテル」の運動量に記録保存される。そのため、物質を構成する「エーテル」一つ一つの平均運動量が同一の物質の持つエネルギーは、物質の質量に比例することになる。つまり、静止した物質の持つエネルギーは、物質を構成する「エーテル」の量である物質の質量と等価であることが導かれる

物質の持つエネルギーが質量と等価であることはアインシュタインにより irksiki1.pngとしてあらわされ広く信じられている。これは、物質は全てエネルギーであり、その大きさは質量に比例することを表す。そして、この考えに基づき、真空からエネルギーの揺らぎにより素粒子が発生し消失することや、素粒子がエネルギーを受け取ったり失ったりすることにより、別の素粒子に変化したり分解することを説明する。しかし、本来、素粒子とは、物質を構成する最小の単位であり、それ以上分解できない非常に小さな粒子で、その構造を変えたり分解や消滅したりすることのないものである。それにもかかわらず、素粒子が分解されエネルギーに姿を変えることや、反対にエネルギーから素粒子が作られることを認めることは非常に大きな矛盾である。エネルギーは物質ではないが物質に変化可能な特殊な存在であると考えることは、可能ではあるが非常に考えにくいことであると思われる。

一方、本論文において、エネルギーの大きさが「エーテル」の運動量に記録保存されることを示したが、これは、「エーテル」一つ一つの運動量がエネルギーであり、エネルギーの実体は「エーテル」であることを表す。つまり、エネルギーとは「エーテル」という実体のある物質であり、それが空間全てを満たし、全ての物質を構成していることになる。すると、真空とは、「気相」の「エーテル」が様々な方向に激しく運動しながら存在している状態であり、当然エネルギーを持つことになる。そして、真空のエネルギーの揺らぎとは「エーテル」の運動のかたよりをあらわし、この運動のかたよりにより一時的に「エーテル」の渦が発生し、その中心に「エーテル」の塊ができるとそれを中心にして素粒子が発生すると考えられる。また、高速の素粒子同士が衝突し、素粒子がエネルギーを受け取ったり失ったりすることにより、別の素粒子に変化したり分解することも、素粒子が粒子と波の状態の相変化を安定した「エーテル」の流れの中で繰り返しているところに別の流れを持った「エーテル」が衝突し、安定していた「エーテル」の流れをみだし新たな「エーテル」の渦を発生させることにより起こると考えられる。つまり、「エーテル」の存在を前提とすると、今まで不明であったエネルギーの実体が「エーテル」であることが判明し、現在我々が考えている、素粒子の質量がエネルギーと等価であり素粒子がエネルギーに姿を変えたりエネルギーから作られるということが、矛盾なく説明できる。

D.「エーテル」の存在を前提とした宇宙について

「エーテル」の存在を前提とし様々な考察をしてきた結果、現在の宇宙空間は「エーテル」で満たされ、全ての物質は「エーテル」で構成され、エネルギーの実体も「エーテル」であることが導き出された。現在、宇宙はビッグバンにより始まったと広く信じられている。始まりは小さな点であった宇宙が生まれてすぐ、いわゆる「インフレーション」といわれる急膨張をおこし、その後徐々に速度を落としながら膨張を続けていたが、70億年ほどで、また加速しながら膨張するようになり、その後現在まで加速膨張を続けていることが観測から確かめられている。「インフレーション」を引き起こしたのは真空のエネルギーであり、「第二のインフレーション」ともいえる膨張速度の加速を引き起こしているのは「ダークエネルギー」と考えられているが、その正体は明らかになっていない。

空間が「エーテル」で満たされ、「エーテル」が物質とエネルギーの源である膨張中の現在の宇宙を、時間をさかのぼり収縮させていくと、やがて全ての「エーテル」が中心へ集まり一つの塊を作る。このことより、ビッグバンが起こる直前の宇宙でも、同様に、「エーテル」が中心に集まり塊を作っていたと考えられる。中心に巨大ブラックホールのような非常に強い引力源があり、周囲の「エーテル」が、徐々に速度をあげながら中心に向かい移動し集まり、「エーテル」どうしが衝突し「エーテル」の塊を形成したと考えられる。通常ならば、素粒子が波から粒子に変化する場合と同じように、「エーテル」の弾性の力により弾かれ再び周囲の空間に広がり、「エーテル」の塊はなくなってしまう。しかし、この場合は「エーテル」の速度が非常に早く、弾性の力よりも「エーテル」のぶつかる力が大きかったため、「エーテル」はそのまま外に広がることができずどんどん大きな塊になっていったと考えられる。「エーテル塊」内部の「エーテル」の弾性による圧力は、「エーテル塊」内部の「エーテル」の数に比例し、その数は「エーテル塊」の体積に比例する。一方「エーテル塊」が外側から受ける圧力は、「エーテル塊」の表面に当たる「エーテル」の数に比例し、その数は「エーテル塊」の表面積に比例する。「エーテル塊」は球形であるため、体積は半径の三乗に比例し、表面積は半径の二乗に比例する。そのため、「エーテル塊」が大きくなるに従い増加する「エーテル塊」にかかる圧力は、外からかかる圧力の増加よりも内部の圧力の増加の方が大きい。このため、「エーテル塊」が大きくなっていくと、ある時点で「エーテル塊」内部の圧力の方が外部からの圧力よりも大きくなり、内部から弾かれ「エーテル」が外に広がり始める。いったん、「エーテル」が内部から弾かれ始めるとその「エーテル」が「エーテル塊」に向かってくる「エーテル」と衝突するため、外からの「エーテル圧」が低くなり内外の圧力差がさらに大きくなる。このため、連鎖的に「エーテル塊」内部の圧力の方が急激に大きくなり「エーテル」が爆発的に周囲に弾き飛ばされ空間へ広がっていく。これが「インフレーション」であると考える。

「インフレーション」では、中心から広がっていく「エーテル」は、最初は中心からの「エーテル圧」が非常に大きいため、周囲にある「エーテル」を弾き飛ばし一緒に周囲へと広がっていく。そして、空間に十分に広がり「エーテル圧」が小さくなり「エーテル密度」が低くなってくると、今度は周囲の「エーテル」とぶつかり、混ざり合いあちこちで「乱気流」を発生するようになると考えられる。そして、この「乱気流」により現在考えられている素粒子が作られ、それが非常に高速で動き回っていたため、宇宙が超高温の灼熱状態になったと考えられる。これが、ビッグバンである。その後、宇宙は周囲の「エーテル」をとりこみながら膨張を続けていくが、周囲へ向かう「エーテル」は、周囲の「エーテル」の「エーテル圧」が十分高くそのうえ宇宙の中心に向かって集まってきているため、周囲の「エーテル」と衝突しあい、その速度は徐々に遅くなる。このため、宇宙の膨張速度は減速していたと考えられる。

膨張する宇宙の周囲にある「エーテル」の濃度と中心に向かってくる速度は、中心に近いほど高く遠ざかれば遠ざかるほど低くなる。そのため、宇宙が膨張を続け中心から離れていくに従い周囲の「エーテル」から受ける圧力が低くなり、やがて宇宙が膨張しようとする圧力より低くなってしまう。すると、宇宙内部の「エーテル」は、内部から外側へと押されることになり、外へ向かって進む速度が加速され宇宙の膨張速度が減速から加速へと変化する。これが、現在我々の所属する宇宙が、膨張速度を減速から加速へと転じ、さらに加速速度を上昇している理由であると考える。宇宙の膨張速度は、宇宙の「エーテル圧」と宇宙の外側の「エーテル圧」との圧力差で決定されるものであったのである。我々は、宇宙の外側の「エーテル圧」の方が低いため、我々の宇宙から見ると反発力の様に見える力を生み出している「エーテル圧の差」を「ダークエネルギー」と呼んでいるのである。そのため、宇宙が膨張するに従い宇宙の外側の「エーテル圧」が低くなり、宇宙内外の「エーテル圧の差」が大きくなるため「ダークエネルギー」も大きくなるのである

E.四つの力について

自然界には引力、電磁気力、強い力、弱い力の四つの力が存在する。「エーテル」の存在を前提にした場合、エネルギーの実体が「エーテル」であることが導き出されている。力とはすなわちエネルギーである。そのため、四つの力の実体もすべて「エーテル」であり、「エーテル」が運動することにより互いに力を及ぼし合っていると考えられる。それぞれの力の性質が違うのは、「エーテル」が動き力を伝える方法が違うためであり、全ての力の源は「エーテル」の動きであると考える。

四つの力をその力の到達距離で分類すると、到達距離が無限大で力の大きさが距離の二乗に反比例する引力と電磁気力と、到達距離が非常に短い強い力と弱い力とに分けられる。また、力の強さで分類すると重力だけが極端に弱く、他の三つは重力の10の35乗から40乗倍の強さである。力の到達距離の違いは力を伝える方式の違いであり、力の強さの違いは「エーテル」の運動量の違いであると考えられる。

まず、力の到達距離を決定している力の伝え方について検討する。量子論では、力を伝えているのは粒子であり、重力(引力)は重力子、電磁気力は光子、強い力はグルーオン、弱い力はウィークボゾンがそれぞれの力を伝えていると考える。新エーテル理論では、引力を伝えているものを光量子(光子)になぞらえ引力量子と名付け、本論文においてその実体を明らかにしてきた。その結果、引力量子は粒子ではなく、素粒子により発生された「エーテル」の運動が、「エーテル」中を連鎖的に伝わることにより力を伝えていることがわかった。このことより、引力と全く同じ力の伝わり方をする電磁気力においても、素粒子が発生した「エーテル」の運動が「エーテル」中を連鎖的に伝わり力を伝えていると考えられる。一方、強い力と弱い力ではグルーオンやウィークボゾンを構成している「エーテル」やその周囲の「エーテル」の運動が直接力を伝えていると考えられる

次に、力の強さを決定する「エーテル」の運動量について検討する。そのために、力の到達距離は同じだが力の強さが違う、引力と電磁気力を比較検討し、「エーテル」の運動量が違う機序を解明する。

引力は全ての物質が持っており、全ての物質がその力を感じる。しかし、磁力は、磁力を発生し感じる物質とそうでない物質がある。このように磁性を帯びることのできる物質を磁性体と呼ぶが、そのうちで特に、常に磁性を帯びている物質(いわゆる磁石)を強磁性体という。通常の物質では物質を構成する原子(電子)のスピンは互いに反対方向を向き、互いにスピンを打ち消し合うものどうしが対になっており、全体としてスピンはなくなっている。それに対し、強磁性体では隣り合うスピンが同一方向を向いて整列しているため、全体として大きなスピンをもつ。「エーテル」の存在を前提とした場合、スピンとは「エーテル」の流れそのものと考える。そのため、スピンをもたない物質に比べスピンをもつ物質では物質を構成する「エーテル」やその周囲の「エーテル」の流れがスピンの回転速度分早くなっており、「エーテル」の運動量が大きいと考えられる。このため、強磁性体が発生する磁力は引力に比べ強いのだと考えられる。つまり、力の発生源がスピンを持つか持たないかにより発生する力に差ができ、発生源がスピンを持っていると、その力を伝える粒子もスピンを持ち大きな力を発生するのである。

到達距離が非常に短く、力の強さも引力に比べ非常に大きな強い力と弱い力は、上記の考察の結果より、力を伝える粒子であるグルーオンやウィークボゾンがスピンを持ち、ターゲットに直接力を及ぼしていると考えられる。しかし、より詳しく見ると、力の強さや到達距離、素粒子に与える作用など性質に違いがみられる。その違いと、その理由について二つの力を比較し検討する。

二つの物質を一つにまとめる場合、その方法には大きく二つの方法がある。一つは、接着剤として物質と物質の間に入り物質をくっつけ合い一つにする方法。もう一つは、輪ゴムで物をまとめる時の様に、物質と物質を一つにまとめその周りを取り囲み押さえる方法である。接着剤で物をくっつける方法では物質間の距離が少しでも離れると力は働かなくなってしまうが、輪ゴムで押さえる方法だと物質間の距離が少し離れても輪ゴムが切れない距離ならば力は働き続ける。強い力と弱い力の作用する距離を比較すると、強い力では原子核の大きさぐらいあるが、弱い力ではその1,000分の1程度しかなく非常に短い。このことより、強い力は輪ゴムの様に素粒子を周りから包み込んでくっつけ合っており、弱い力は接着剤の様に物質と物質の間に入り込んで物質同士をくっつけているのではないかと考えられる。以下この仮説を前提とし、強い力と弱い力について考察する。

弱い力とは原子核のベータ崩壊や中性子、パイ中間子などを崩壊させる力である。そこで、弱い力の機序を解明するため、具体的に、原子核外の中性子が電子と反電子ニュートリノを放出して陽子になるベータ崩壊について検討する。陽子と中性子は原子核を構成する粒子で核子と総称され、ともに三つのクォークから構成される。陽子は二個のアップクォークと一個のダウンクォークからなり、中性子は一個のアップクォークと二個のダウンクォークからなる。原子核外において、陽子は非常に安定している。しかし、中性子は不安定で、10分ほどでベータ崩壊し陽子に変わってしまう。ベータ崩壊をさらに詳しく見ると、中性子の中のダウンクォークがウィークボゾンを放出しアップクォークに変化し、放出されたウィークボゾンがすぐに電子と反電子ニュートリノに変化するものである。元の中性子は、二つあったダウンクォークのうち一つがアップクォークに変化したため、二個のアップクォークと一個のダウンクォークで構成される陽子に変化する。新しくできた陽子は原子核外でも非常に安定しているためそのまま陽子として長い期間存在することになる。

新エーテル理論では、現在素粒子と考えられている物質(以下単に素粒子と表記する)も、全て「エーテル」で構成され、「エーテル」が一点に集まり塊となった粒子の状態と、空間に広がって存在する波の状態とを非常に短期間に繰り返しており、スピンとは、素粒子を構成している「エーテル」が波の状態の時に一定方向に流れ形成する渦の回転と考える。つまり、素粒子とは、台風の様に渦を巻いて流れる「エーテル」が渦の中心に集まり粒子となったのち、再び周囲の空間に広がり周囲にある「エーテル」と混ざり合い、再び台風のような渦巻きを形成することを繰り返しているものと考えられる。

陽子と中性子は三つのクォークで構成されているため、陽子、中性子の内部ではクォークを形成する三つの「エーテル」の渦が存在すると考えることができる。二つの同じ回転方向の渦が近づいた場合、接近面での回転方向は互いに反対になるため、流れどうしがぶつかり合い遠ざかろうとする力が働く。一方、回転方向が反対な二つの渦が近づいた場合、接近面での回転方向は同じとなるため、互いの間の空間の圧力が低くなりより近づこうとする力が働く。このため、一定の空間の中で三つの渦が互いに距離を保って安定して存在するには、渦の回転方向が全て同じでなくてはならない。このことより、陽子、中性子の中に存在する三つのクォークは、全て同じ方向に回転して「エーテル」の渦を形成しており、三つの渦は互いに反発し合い、接近したり遠ざかったりを繰り返しながら、一定の距離を取って存在していると考えられる。

上記の様に、同じ方向に回転している渦が一定の距離の中で接近したり遠ざかったりを繰り返していると、ある時点で渦と渦の間に反対方向に回転する新たな渦が発生する。すると、回転が反対同士の渦の間では引き合う力が働くため、新しくできた渦が両わきの渦を引き寄せ、結果的に回転方向が同じ渦どうしを引き寄せることになる。この新しくできた、クォークと回転方向が反対の渦が、ウィークボゾンであると考える。陽子や中性子の中では同じ方向に回転している三つのクォークの渦が頂点となり、頂点と頂点の間に、両わきのクォークの渦に接し反対方向に回転しているウィークボゾンの渦が存在していると考えられる。そして、クォークが波と粒子との状態の変化を繰り返すことにより、それぞれの位置を変化させるとともに、それぞれを構成する「エーテル」を共有し、全体として安定して存在していると考えられる。

新しくできるウィークボゾンの渦はできる場所によって、アップクォークとアップクォークの間、アップクォークとダウンクォークとの間、ダウンクォークとダウンクォークの間の三つのパターンがある。これらの渦は、クォークの波と粒子の状態変化によるクォーク間の距離の変化や状態変化のタイミングの違いにより、大きさやクォークと共有する「エーテル」の量や所有する電荷に違いができると考えられる。ダウンクォークとダウンクォークの間にできる渦は、ダウンクォークの質量がアップクォークの二倍ほどあることやダウンクォークが負の電荷をもっているためダウンクォーク間で反発力が働くことなどにより、アップクォークとアップクォークの間やアップクォークとダウンクォークとの間にできる渦よりも大きく、電荷も偏りやすいと考えられる。このため、両わきのダウンクォークのうち片方が粒子となってしまった場合、ダウンクォークが波の状態で残っている側がプラスに帯電し反対側がマイナスに帯電すると考えられる。その後、プラスに帯電した側にあったダウンクォークが粒子になり始め、マイナスに帯電した側に再びダウンクォークが渦となって出現すると、ダウンクォークとダウンクォークの間にある電気的に分極した渦は、ダウンクォークのもつマイナスの電荷に反発し核子の外に飛び出してしまい、この時、プラスに帯電した側にあったダウンクォークと共有していた「エーテル」も、渦の一部として一緒に飛び出すと考えられる。この、飛び出してきた渦がベータ崩壊の時に中性子から飛び出すマイナスの電荷をもったウィークボゾンであり、「エーテル」を失ったダウンクォークがアップクォークへと変化し、飛び出してきたウィークボゾンが電子と反電子ニュートリノに変化することによりベータ崩壊がおこると考えられる。

以上が、弱い力とベータ崩壊の機序の概要であるが、こう考えると、弱い力が非常に短い距離でしか働かないことや、パリティ保存則を破り、一定の方向のスピンを持った物質にしか働かないことも説明できる。

強い力とは核子のなかのクォークを結び付けたり原子核の中の中性子や陽子を結び付ける力で、自然界にある四つの力のうちで一番強く、力の作用する距離は弱い力の1,000倍ほどで原子核の大きさ程度の距離である。力を伝えている物質はグルーオンであると考えられているが、グルーオンは単独で存在するところは確認されておらず、他の力と違い力を及ぼす物質の距離が遠くなるほど働く力が大きくなるという特徴を持っている。

まず、核子の中でグルーオンがクォークを結び付けている機序について検討する。弱い力について検討した結果、核子の中では同じ方向に回転している三つのクォークの渦が頂点となり、頂点と頂点の間に、両わきのクォークの渦に接し反対方向に回転しているウィークボゾンの渦が存在し、全体として安定して存在していると考えられることがわわかかった。三角形の頂点に同じ方向に回転する「エーテル」の渦が存在する場合、三つの渦の外側に、三つの渦を取り囲む、渦と同じ方向の「エーテル」の流れが生じると考えられる。この三つのクォークを取り囲んで流れる「エーテル」の流れがグルーオンであると考える。つまり、グルーオンは、三つのクォークやウィークボゾンとその周囲の「エーテル」も含め、全てを取り囲み核子の境界を形成することにより、内部のクォークを結び付けていると考えられる。そのため、グルーオンの囲いの中である核子の中では、クォークは比較的自由に独立して存在できるが、クォークを核子から取り出そうとすると、グルーオンの囲いに邪魔をされるため引き離すために強い力が必要となり、さらに力を加え無理に引きはがすとグルーオンの囲いが破れ、それがクォークにくっつき一緒に外に出てきてしまうと考えられる。このため、核子の中でクォークを結び付けている強い力は、クォーク同士の距離が遠くなると大きくなり、クォークを単独で核子の外に取り出すこともできないのだと考えられる。

次に、原子核の中で核子が結びつく機序について検討する。原子核で陽子と中性子を結び付けている力は核子内部のクォークを結び付けているグルーオンに由来すると考えられており、その力を核力と呼ぶ。核力を伝える粒子はπ中間子で、原子核の中で、陽子はπ中間子プラス、中性子はπ中間子マイナスを放出し互いにπ中間子の交換を行い、それぞれが中性子、陽子へと変化し入れ替わることを繰り返し結びついている。この核力は、核子の中で働く強い力と違い、遠距離では引き合い、近距離では強く斥けあうことが知られている。

通常の原子は同じ数の陽子と中性子からできている。ウランなどの放射性物質の原子核が、アルファ粒子と呼ばれる、陽子二個と中性子二個の組み合わせでできている粒子を放出して少し軽い原子核になる現象をアルファ崩壊と呼ぶが、このアルファ崩壊で出てくるアルファ粒子は非常に安定性が高く陽子や中性子がばらばらに存在しているときよりも安定している。このため、原子核の中の陽子と中性子も陽子二個と中性子二個からなるアルファ粒子のまとまりを作って存在していることが知られている。このアルファ粒子について、どのように陽子と中性子が結びついているのかを検討する。

アルファ粒子では二つの陽子と二つの中性子が一定の狭い空間に共存しているが、陽子は正の電荷をもっているため陽子同士は反発し合い結びつくことはできない。そのため、陽子は必ず中性子の隣になくてはならない。つまり、狭い空間で陽子二個と中性子二個が安定して存在するには、四角形の頂点に陽子と中性子が交互に存在することが必要になる。陽子と中性子は、グルーオンが核子の中でクォークを結び付けている機序より、一定方向に「エーテル」が流れるグルーオンの渦によって取り囲まれ、周りの空間と隔てられていると考えられる。そのため、陽子と中性子を外から眺めると、一定方向に流れるグルーオンの渦として存在していることになる。

一定の空間の四角形の頂点に四つの渦が存在する場合、安定して存在できる渦の組み合わせは渦の流れが全て同じ向きの場合と向きが交互に入れ替わる場合の二つに限られる。このうち、流れの向きが交互に入れ替わる場合は渦が互いに引き寄せられ接触してしまうため、それぞれの渦が独立して存在することは難しい。一方、全ての渦が同じ向きの場合は、渦と渦が近づき過ぎると反発力が働き互いに遠ざかり、ある程度遠ざかると渦と渦の間にウィークボゾンと同じような反対向きの渦ができて両わきの渦を引き寄せる。新エーテル理論では、この核子の渦の間に新しくできた反対向きの渦が、π中間子であると考える。π中間子の渦は、両わきの核子の渦と「エーテル」の一部を共有し核子同士を引き寄せるがやがて吸収されてしまうと考えられる。一方、π中間子の渦を吸収した核子はそれぞれ、陽子は中性子、中性子は陽子へと変化すると考えられる。これが、π中間子の交換による、核子の陽子から中性子、中性子から陽子への変化の機序であると考える。新たにできた陽子と中性子はその距離が近いために反発力が働き再び遠ざかるが、ある程度遠ざかると間に再びπ中間子の渦ができ、再び引き寄せられ、π中間子の交換を行う。この繰り返しにより、四つの核子は一定の範囲の距離を取りながら安定して存在していると考えられる。

また、四角形の四つの頂点に同じ方向に回転する「エーテル」の渦があると、その四つの渦を取り囲み、渦と同じ方向の「エーテル」の流れができると考えられる。この新たにできる「エーテル」の流れも、グルーオンとして働き四つの核子をまとめる力を発生していると考えられる。このため、四つの核子からできているアルファ粒子が一つの集まりとして安定して存在し、アルファ粒子という独立した粒子として振る舞い、観察されるのだと考えられる。そして、原子核の中ではアルファ粒子を取り囲むグルーオンの渦同士が作用しあい、アルファ粒子のなかで核子同士を結び付けているのと同じようにアルファ粒子同士を結び付けているのだと考えられる。つまり、グルーオンはグルーオン同士が作用することにより引力と新たなグルーオンを作りだし、新たにできたグルーオンが他のグルーオンと作用することでまた新たな引力とグルーオンを生み出すことで、クォークや核子やアルファ粒子を結び付けていると考えられる。

おわりに

「エーテル」の存在を前提として万有引力の発生機序、作用機序について考察してきた結果、実に様々なことが導き出されました。全ての物質が「エーテル」で構成されていることやエネルギーの本体が「エーテル」の運動であること、物質の慣性質量と重力質量が同一であるという等価原理の証明や慣性の法則の機序の解明など、今までの理論とは異なる定義や、今までの理論では説明が困難だった事柄について新たな考え方を示しました。これらは今のところ単なる仮説にすぎません。しかしこれらの仮説は、「エーテル」の存在を認め、「エーテル」の存在を前提として、現在判明あるいは信じられている事象を再検討することにより理論的に導き出されたものです。「新エーテル理論」では、「エーテル」の存在を認め、「エーテル」の存在を前提とし、様々な物理現象を再検討することで様々な新たな理論を導き出します。本論文の考察の後半では、その可能性を示すため、「エーテル」の存在を前提とした宇宙と自然界の四つの力についての考察も展開しました。一人でも多くの人がこの論文を読み「新エーテル理論」に興味を持ち、検証に参加して下さることを願います。





論文は以上です

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論文3:「エーテル」の存在を前提とした万有引力についての考察


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変更履歴

2017/9/9

考察の @.素粒子の波から粒子への相変化の機序 の以下の部分を変更する。

また、素粒子と反素粒子の関係は、同じ構成を持った素粒子の「エーテル」の流れる方向(スピンの向き)が逆の物同士であると考えると、素粒子と反素粒子がぶつかり合った時に対消滅するのは、逆方向の流れを持つ「エーテル」どうしがぶつかり合うことにより「エーテル」の流れが相殺し合いなくなってしまうからだと考えることができる。
を以下の文と置き換える。
  また、素粒子と反素粒子の関係は、同じ構成を持った素粒子の「エーテル」の流れる方向(スピンの向き)が逆の物同士であると考える。すると、素粒子と反素粒子がぶつかり合った時に対消滅するのは、スピンの向きが反対同士の素粒子が衝突すると、衝突面では「エーテル」の流れる方向が同じため「エーテル」同士が互いに衝突して速度を落とすことがなく、「エーテル」の流れる速度が衝突面以外の「エーテル」の流れよりも早くなり、その結果、周囲の衝突面以外の部分よりも「エーテル圧」が低くなり周囲より押されて合体し、「エーテル」が一つの流れになり渦を巻かなくなるためだと考えることができる。

論文3:「エーテル」の存在を前提とした万有引力についての考察 のPDFファイルを更新しinryokuv2.pdfに変更する。



Copyright (C) 2012 Yukihiko Hoshino
初版:2013年12月27日、最終更新:2017年9月9日
エーテル引力論
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